Breminger

マッチングのBremingerのレビュー・感想・評価

マッチング(2024年製作の映画)
1.5
「サイレントラブ」で苦手意識が増してしまった内田監督の新作。今作も原作から内田監督がやっているので、こういう土台作りを1からできる監督って凄いなぁとは思いますが中身は…やっぱりアレな作品でした。

そもそもタイトルのマッチングが土台としてもあまり機能していなかったのが致命的でした。
マッチング婚で結婚したカップルが殺されているのと、主人公がマッチングした相手がどう考えても怪しいヤツだったくらいでしか活きておらず、マッチング会社のプロデューサーがまぁ犯人1なんだろうなと思っていたら案の定で、どんどん怪しい方向へ引っ張っていく割にはその持って行き方が強引なので乗り切れず…。

実際のマッチング会社がどうかは分かりませんが、個人情報がもうガバガバすぎて笑ってしまいました。
一人一人のトークを拝見できるというプライバシーの無さだったり、週刊誌に一般人であるはずの輪花の個人情報が流出しまくって実生活に影響出まくってるのに警察がなんの対処もしなかったりと、この世界の倫理観が崩壊しまくってるのが物語を悪い方に進めていってしまってるなぁと思いました。

主人公の周りの人が立て続けに死んでいくのもなんかよく分からず、同僚が突き落とされて死んだり父親が首吊ってたり、それも種明かしでプロデューサーと父親の不倫相手がやってた事が明かされますが、そこ殺す必要ある?と何度も首を傾げてしまいました。

終盤の種明かしも怠いなぁと思いながら観ていて、輪花の母親と父親の不倫相手が一緒に暮らしていて、そこに引き連れてぶっ壊そうとする〜みたいな流れが分かっているはずなのに唐突感が否めず、トムも多分その不倫相手の子供なんだろうなぁと思ったらその通りで、ブッスリ刺されたと思ったら警察呼ばれててみたいな感じで雑・雑・雑の応酬でした。
そもそもマッチングの写真の後ろにある四葉のクローバーの描かれたイラストだけで輪花と断定するイカレ具合もなんか納得できずでした。

終わり方も観客側を犯人であるトムが観てニチャアっと笑う演出は最高にイラッとしました。こういう続編を匂わす終わり方は昂るものがないと好きになれませんし、そもそもトムの殺人の動機や印象的な殺し方が最後の最後まで何も明かされずじまいだったのも残念だったなと思いました。

役者陣もしっかりした人が揃っているはずなのに何故か微妙に見えるのが本当不思議で、土屋太鳳さんでさえあれ?と思うシーンがありましたし、セリフの都合なのか聞き取りづらい場面があったり、単純にあまり上手じゃない方もいたりと、ここら辺のバランスが作品を追うごとに変になっていってるので、ここが統一されればもう少し緊迫感とかあったのになぁと思いました。

内田監督作品って作品のどこかに必ずバイオレンスな要素が入るのはもうお決まりで、この作品はそれがそこまで違和感にはなっていないんですが、リスカの跡だったり顔面へのエグい傷や残忍な殺人現場、首吊りだったり突き飛ばされたりと割と多めなのに全年齢対象なのはちょっとなぁ…と思いました。PG12くらいはあってもいいんじゃないかなと思いました(サイレントラブよりかはいくらかマシですが)。

マッチング要素は死に設定で、オチまで早い段階で読めてしまい、役者も演出のせいか自力のせいなのか空回り、どんでん返しも驚けずの微妙すぎる作品になっていました。どうも続編を狙っているみたいなんですが、ここからどう話を広げていくのか…。興味が湧きませんでした。
内田監督との相性が良くなる事を期待します…。
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