ぶみ

忌怪島/きかいじまのぶみのレビュー・感想・評価

忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)
2.5
バグじゃない、呪いだ。

清水崇監督、共同脚本、西畑大吾主演によるホラー。
霊媒師が住む島において、VR研究を行うチーム「シンセカイ」のメンバーに巻き起こる奇妙な出来事を描く。
チームメンバーを西畑、生駒里奈、平岡裕太、水石亜飛夢、川添野愛、伊藤歩、島の住人を當真あみ、笹野高史、大場泰正、なだぎ武が演じているほか、山本美月、吉田妙子等が登場。
物語は、冒頭、暗闇の海辺に佇む民家という抜群のシチュエーションでスタート、以降、閉鎖感漂う孤島を舞台に、現実とVR空間が交差しながら展開。
特に、怨念や呪いといった概念的な部分と、VRによる仮想空間という対極的なものを融合させる設定は、なかなか斬新。
ただ、それを映像化するには若干予算が足りなかったのか、はたまたスタッフ陣の力量の問題か、チープなCGを筆頭に、感情の全てを演者に喋らせたり、キャラクター設定に現実感が薄かったりと、其処彼処に残念な部分が散見。
とりわけ、本来なら物語の鍵を握るはずの霊媒師が、台詞棒読みかつ滑舌が悪いというのは致命的。
反面、あまり期待していなかったと言っては失礼ながら、山本の演技が思いのほか良かったのに加え、先日観た前田哲監督『水は海に向かって流れる』で存在感を見せていた當真が、本作品でも輝きを放っていたのには、今後も期待できるところ。
加えて、多くの作品で抜群の演技力を見せている和田光沙が、本作品でも、とあるシーンで登場しているのも見逃せないポイント。
また、過去作品のレビューでも書いたのが、監督の車社会に対するリテラシーの低さが、本作品では、ようやく真っ当なものに。
斬新な設定が素晴らしく、滑り出しは良かったものの、物語が進むにつれ、あれもこれも詰め込みたかったのか、どんどん焦点がブレていってしまったのが残念でならないとともに、邦画の悪い点である説明しすぎる脚本が、肝心なところで説明になっていなかったのが目立ってしまった一作。

残っているのはリン酸カルシウム。
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