ひろ

ピラニア 3Dのひろのレビュー・感想・評価

ピラニア 3D(2010年製作の映画)
3.6
1978年の映画「ピラニア」を、フランスの映画監督アレクサンドル・アジャがリメイクした2010年のアメリカ映画

このフランス人監督は侮れない。アメリカらしいB級映画のツボを心得ている。オッパイと血のコントラスト。ザッツ・エンターテイメント。若者たちの浮かれっぷり、アホそうな登場人物。この時点で死にそうな人たちの察しがつくのがB級映画のだいごみ。

冒頭のじいさんが釣りをしているシーンでテンションが上がった人とは友達になりたい。まさかのリチャード・ドレイファス。この映画のオリジナル「ピラニア」も、リチャード・ドレイファスが出演した「ジョーズ」がなければ誕生しなかった。こんな最高のオマージュはなかなかお目にかかれない。

名優スティーブ・マックイーンの孫であるスティーブン・R・マックイーンが主人公を務め、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマーティの恋人役のエリザベス・シュー、ドク役のクリストファー・ロイド、「スタンド・バイ・ミー」の太った少年を演じていたジェリー・オコンネルまで出演している。映画好きな監督の趣味が出過ぎな素敵なキャストだ。クリストファー・ロイドなんかドクと同じ話し方だから最高だ。

音楽もHadouken!とか今どきのダンス・ミュージックを使っているけど、レイヴの悪いイメージを描いているのが残念。ピクシーズのTシャツをバカにされた主人公が生き残るということは、最後はロック好きが勝つというメッセージに違いない。主人公の部屋にラモーンズ、 レッチリ、レディオヘッド 、ニルヴァーナのポスターがあったし、映画好きで音楽好きな監督なのは間違いない。話が合いそう。

おそらくどうでもいいとこに注目していたら、とんでもない展開に。ピラニアが人々を襲うシーンは不謹慎にも笑ってしまう。警告を聞かないやつは死ぬし、途中からピラニアと関係ないパニックの被害者が続出するから笑ってしまう。絶妙なさじ加減のクオリティの低さを保つことがB級映画の鉄則だ。魚がナニかしらを吐き出すシーンは名シーンだ(笑)

品性など必要ない。オッパイと血の祭典。映画史に刻まれることはないくだらなさ。こういう映画の存在も欠かせないものだ。万人に勧められるような映画じゃないし、お子様にも見せられる映画がじゃないけど、B級パニック・ホラーは永遠に不滅なのだ。その証拠にすでに「ピラニア3DD」という続編が作られている。
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