Lila

オットーという男のLilaのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.0
飛行機で鑑賞。奥さんに先立たれて孤独と戦う、頑固で曲ったことが嫌いな主人公オットー。「カールじいさんの空飛ぶ家」みたいだなーと見始めましたが、後半ずっとワンワン泣いていたので、隣の人が寝てて良かった!

原作スウェーデンの映画は観ていませんが、このアメリカ版はどことなーーく懐かしい90年代辺りの映画っぽさがあります。

凝ったことはそこまでなく、描写がゆっくり進み、丁寧に回顧しながら、サントラ欲しいなーって思わせる音楽や癖のない色彩が彩り、起承転結をスムーズに進める中で、俳優の技量で映画を模る、そんな安全運転の心地よさがありました。淡々と進み、予想できる展開なものの、自然と涙が流れちゃう映画です。

ここまで号泣したのは久しぶりです。ずっと止めどなく、涙が流れちゃうシーンが続きますが「お涙頂戴」感は薄めで、ただただ淡々と進む印象。

音楽はトーマスニューマン。納得!!ショーシャンク、アメリカンビューティー、007この人の手にかかれば世界観出ますね。

トムハンクスは好きな俳優です。彼がやるからこそ、根底は真面目で良い人のキャラがスッと入ってきますね。運転教えてあげてる時のOttoらしい、というかトムハンクスらしさが響いて、そこら辺から終わりまで号泣したのもトムだからでしょう。

そんなトムもいいですが、近所に引っ越してきたラテン系一家のマリソルがめちゃくちゃ良かったです!!観た事ない女優さんでしたが、他は考えられないくらい適任でした。

魔女の宅急便のオソノさんみたいな?小柄で可愛らしいけども、一家支えながら妊娠もしてる逞しい母ちゃん。ご飯持ってきてくれる時の雰囲気とか、海外でよく見るラテン系の温かさで、無理ない塩梅の自然さが好きでした。彼女だから、Ottoが変われたと納得できる器量と愛情深さでした。

トムハンクスの若かりし頃を実の息子が演じ、奥様もプロデューサーで入り、事実上ハンクス一家総出の作品。何世代も業界をリードしてきた、王道さがありました。

あまり予告編とか観ていなかったのもありますが、この映画ポスターとタイトルだと何となく伝わらない気もしてます。

大人向けです。人は年齢を重ねると共に家族中心となっていく。そんな家族はもちろん大事。でも何があるか分からない。いつか1人になってしまうかもしれない。そんな時、友人や近所の人と育むかけがえのない関係が、家族同等となり、とにかく誰かのために生きることが生き甲斐になることを教えてくれます。
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