翼

オットーという男の翼のネタバレレビュー・内容・結末

オットーという男(2022年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

タイトル、険しい表情の老人、住宅、傍に猫。
以上の情報から概ね筋書きが汲み取れる、今時珍しい王道骨太なヒューマンドラマ。
気難しさは寂しさの裏返しで本当は…なお話そのままなんだけど、しっかり感動できるのはトムハンクスが名優たる由縁だろう。
この手のガンコジジイが心開いていくハートウォーミングな筋書きはクリンストイーストウッド御大の独壇場と思っていたが、トムハンクスがハマる年代になるとは…なんだか貫禄に感動してしまった。
マリソルが「頭の良い人」ということは彼女の察する力や人を引き寄せる魅力、言わばEQによるものと誰もが納得できるストーリーであるが故、実は有名大学卒でした〜とかIQの高さをオットー老人が知るくだりはいっそ無かった方が清々しく感じる。彼はマリソルの素性に心開いたのではなく、無遠慮にガラス戸をバンバン叩く代わりにどこまでも思い遣ってくれる心の距離の取り方を認めたのであって。彼女無しにはあのエンドロールは有り得ないのだから。
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