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オットーという男の福福吉吉のレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.5
◆あらすじ◆
オットー・アンダーソンは会社を退職し、半年前に妻を亡くして生きる希望を失い、自殺しようとしていた。首を吊ろうとしたオットーだったが、向かいに引っ越してきた夫婦が自動車を上手く停められず大騒ぎしていたため、オットーは夫婦の手助けをする。この一家の遠慮のない接近にオットーは次第に生きる希望を持ち始める。

◆感想◆
地域の規則に口うるさいオットー(トム・ハンクス)と引っ越してきた一家の交流とその周囲を取り巻く人々の姿を描いた作品となっており、その一方でオットーが妻のソーニャ(レイチェル・ケラー)と歩んできた道を併せて描いていて、オットーの失ったものと本作で新たに得たものを描くことで、生きることの辛さ、厳しさそして喜びを伝えてくれるものになっていました。

オットーは古くから住んでいてその地域の規則に口うるさい頑固じいさんであり、かなり偏屈なおじいさんなのですが、彼の言っていること自体は正しくて、規則に触れるけど見逃してほしいラインをきっちり注意してくるので、かなり厄介な人物でした。彼は最愛の妻であるソーニャを失ってから、表情が凍りついており、心が冷え切っているように感じました。

そんな中、オットーの向かいに妻マリソル(マリアナ・トレビーニョ)と夫トミーの一家が引っ越してきて、相手の気持ちなどお構いなしでオットーにどんどんお願いしていきます。オットーはとても嫌そうな顔をするのですが、それでも夫妻の要望に応えていきます。妻のマリソルの明るさはまさに太陽のようで凍りついたオットーの心を溶かしていきました。正直、遠慮しろと少し思いましたが、これくらいじゃないとオットーのふところに踏み込めなかったのかなと思いました。

妻のソーニャはとても素敵な人物で、彼女の存在の大きさを強く感じました。オットーと二人三脚で生きてきた姿はとても幸せそうに感じました。

ストーリー終盤のオットーたちの行動はとても気持ちよくて、人の繋がりの温かさを感じさせるものがありました。

オットーが最後に幸せだったことを作品を通じて確信させるものになっていて、生きることの素晴らしさを感じました。

鑑賞日:2024年4月4日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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