日本にもフィリピンにもふんどしの文化がある（あった）。何故人々はふんどしを締めることを恥ずかしいと感じるようになってしまったのか。それは西洋的な美意識、特にハリウッドから発信されるモンローやシュワルツェネッガーを象徴とする肉体美こそが正しいとする間違った認識に基づくものではないか、皆気にせずふんどしを締め、己の民族そして肉体が持つ本来的な美を誇るべきだ、と言ったお話から、広島の原爆被害者追悼への監督の思考・行動は流れて行く、振り幅が凄いな。この人は映画監督と言うよりインスタレーション作家、そしてパフォーマーとしての一面の方がやっぱり強力な様だ。きっとこの作品がまた『500年の後悔』の源流になっているのだと思う。

キドラットは頻繁にハリウッドを敵対視し、ついにはシュワちゃんにも勝てるふんどしを手に入れたとか訳わかんないことを言って、先月のイメフォでも同じようなことを行った鐘をつきながらぐるぐる練り歩くパフォーマンスが徐々にクセになってくるからうける。身体的運動から徐々に精神を乗っ取られていく感覚とでも言うのだろうか、独特の心地良さの中に確かに感じるインディースピリットと日本愛。このおじさん日本好きすぎでしょ。身体的な美の基準を探求した先にフィリピンが植民地化されてきた歴史を紐解いていく。ミクロからマクロへ、感性と理性のバランス感覚が素晴らしいと思う。

• #2019〜

ダメだった。僕は何をみていたのか覚えてない