はんちんぐ

メグレと若い女の死のはんちんぐのネタバレレビュー・内容・結末

メグレと若い女の死(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

部下に焦点を当てない、オリジナルキャラクターの登場などにより、原作に比べてメグレの内面や考えに重きを当てている印象が増している。
原作が物言わぬ死者の痛々しい心情や置かれた環境を徐々に解き明かしていく展開なのに対し、オリキャラのベティを通して同様の同時代・同世代の被害者と重ねることで心情を理解していく構図となっている。この点が、被害者だけでなく同様の境遇で夢見てパリへ出てきた若い娘がたくさんいることをより明示的に示しており、その時代の空気感を鮮明にしてくれている。
また、原作では、被害者の父親が残した遺産を手に入れられる幸せを目前にして無関係の犯人に殺害されるやるせなさがあり、映画版の結末は物語の深みは原作に及ばない印象を受けるが、メグレという男に対する描写に長けている点と、何よりその時代のパリの様子を映像で窺い知ることができるという点で満足できる作品であることは間違いない。
あと結末が原作と異なるが関わらずがっかり感も少ない。