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サーチライト-遊星散歩-のネノメタルのレビュー・感想・評価

サーチライト-遊星散歩-(2022年製作の映画)
4.1
「認知症」「貧困「停学」「ラブホ援交(援交って言葉はもう古いのかもしれない、パパ活とも違うんだよねw、まあそんなところです)」などやもすればヘヴィになりがちな要素を内包しつつもそれらを突き抜けるほどの優しさと強さとが共存する作品である。
また、「認知症の母を世話する貧困の一人娘」という設定では去年鑑賞した『虹のかけら』とシンクロする。
勿論静謐さに多くの比重が置かれている『虹のかけら』に比べて『サーチライト』では歌、音、そして音楽が重要な役割を果たしてるという違いはあるが両作ともヘヴィーなテーマながらそれを押し付ける事なく観る者にある種のパースペクティブ(perspective)を与えてくれる意味でも共通している。
それにしても、である。この認知症の母と一人娘からなるこの親子を照らし続けてきたあの サーチライト は人々の心を写像し続ける鑑のような存在だな!と。
或いは「彼」は本作のストーリーテラーなのかもしれない。

またまた或いは別の視点で言うと一人で街を外出できない程症状の重い母(貴子)が物凄く大切で、かつ普遍の真理のような言葉を口にしたのは驚いた。
一見唐突に思ったが不可視である筈の父(博志)が彼女の側に常にいてくれていたと思えば自然と繋がってきたりして。
彼こそが サーチライト の光と化し二人を誘導してくれたのかもしれない。
という訳で本作はまるでサーチライトの光に照らされた人の表情が様々な角度によって見え方が違うように様々な解釈や受け取り方がある作品だと思う。あと『#サーチライト遊星散歩』を観て数日経過したからこそじわじわと思うんだけどこのストーリーの後日談として恐らく果歩と輝之は男女として付き合うんだろうけど最終的には破綻しそうだなと思ったりする。
なにせ輝之は本編でのトイレットペーパー然りラブホ然り果歩への愛情が重すぎて過剰過ぎるんだよね、知らんけど。
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