ねむろう

シモーヌ フランスに最も愛された政治家のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_239


私が、証明――


【簡単なあらすじ】
1974年、パリ。カトリック人口が多数を占め、男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ベイユは圧倒的な反対意見をはねのけて中絶法の可決を実現させる。1979年には女性として初めて欧州議会議長に選出され、理事たちの猛反対にあいながらも「女性の権利委員会」を設置。女性のみならず、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など、弱者の人権のために闘い続けた。その不屈の意志は、かつて16歳で家族とともにアウシュビッツ収容所に送られたという過去の体験の中で培われたものだった。



【ここがいいね!】
フランスで絶大な人気を誇る女性の政治家であり活動家、シモーヌ・ヴェイユの生涯を描くという作品。
作品内では、彼女の人生の時系列がバラバラになって描かれていくわけですが、その描き方も後の方で描かれることの伏線と的な役目も持っていたりと、演出面の工夫が凝らされていました。
シモーヌが、1960・70年代に刑務所の環境整備や女性監房の整備に力を入れていくところが、先ほども言ったように、かつての自分が味わった環境と重なって、それが60年代から80年代における世界的な「権利の時代」とマッチしていく。それが、これまで積み上げてきた経験だったり、心半ばで亡くなっていった自分の家族たちだったりを受けて、力強く活動していったのだなというところが見える作品になっていました。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
時系列がバラバラにされていましたが、そんなに分かりづらくはなかったです。
そして、彼女の歴史の中でいろいろな活動と成果が語られるわけですが、もう少し分かりやすく「こんなことをしたんだ」「こんな改善が見られたんだ」というところを描いてくれると良かったかなと思います。
また、時代の要請とはいえ、彼女がどんどんいろんなことを成し遂げていく裏には、様々な人の協力があったわけです。その裏でどんな力が結集していったのか、というところも描いていくと良かったのかなと思います。



【ざっくり感想】
今年2023年は、『ヒトラーのための虐殺会議』『ペルシャン・レッスン』『アウシュヴィッツのチャンピオン』『キャロルオブ・ザ・ベル』なのどの「第二次大戦もの」を見ていきましたが、その中で描かれていくのは、「どんな時にも希望を捨ててはいけない」ということですし、そんな中でも生き残った者たちが背負わなければいけないことを描いていたと思います。
そして、それを見る現代の私たちには、それを忘れずに語り継いでいきながら、環境や時代が違ったとしても変わらない何かに気づき、行動を起こすことの大切さを教えてくれる作品でした。
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