コーディー

それでも私は生きていくのコーディーのレビュー・感想・評価

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)
3.9
夫を亡くし娘を育てながら病に記憶を奪われていく父の世話もするサンドラ。そんな役割に追われる日々、喪失に揺らぐ彼女が妻子持ちの旧友との再会、愛を通して自己と向き合っていく…
欲望と虚無、愛と孤独の狭間でようやく触れられる親密を穏やかな眼差で見つめる。好き。

元教師で読書を愛し知性に溢れていた父の面影が日増しに遠ざかる悲しみ。そんな抗えない無力感に苛まれながらも父が快適に過ごせる施設=居場所探しに奔走する姿がサンドラ自身とも重なるし、不安を和らげ欲望を満たしてくれる旧友クレマンが拠り所になるのも分かる、メルヴィルの色気と軽さがズルいw

もちろん娘は愛してるけど一緒に観た映画の感想に忖度なしなサンドラ母さんが好きやしw疲れた表情を浮かべ、時には堪えきれず涙が溢れることもあるけど、それでも人生も自分も諦めてない脆さと逞しさ。控えめな物語のどこにでも居そうな女性を演じても品格漂うレア◦セドゥがやっぱり素敵でした。