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お熱いのがお好きのたにたにのレビュー・感想・評価

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)
4.2
【恋はしないがキスはする】2022年141本目

マリリンモンローといえば"ププッピドゥ"。その歌声と、彼女の醸し出すオーラに圧倒される。

1929年、禁酒法時代のシカゴ。
聖バレンタインデーの虐殺を目撃した2人の男がギャングに追われる身となる。
なんとか逃れるために女性に扮して女性バンドに紛れ込み、そこでシュガー(マリリンモンロー)と出会うという流れだ。

実際のシリアスな時代背景を舞台に展開される物語の中で、男性が女性に扮してコメディタッチで描かれる今作は、ジェンダーレスへの広い寛容性を示しているといえよう。ラストシーンの「完全な人間なんていないさ!」という名言はまさにそれを表している。

「俺は女だ、俺は女だ。」と自分に言い聞かせるシーンや、お金に目がくらみおじいちゃん御曹司のプロポーズを受け入れるという展開は、ある意味ありえないとさえ思いつつ、優しく微笑ましいシーンでもある。

こういった風潮を嘲笑うのではなく、微笑ましく面白おかしく映画にするというのは1950年代後半の観客にどのように受け入れられたのだろうか。ゴールデングローブ賞の受賞歴からすると、その答えは明白である。

"いやいやウッドベース弦弾けてないやないかい"みたいなわかりやすいボケもありながら、
ジャケット着たまま泡風呂に浸かってビッシャビシャ姿のトニー・カーティスというシュールな笑いも取り入れ、大衆に広く受け入れやすい面白い映画となっている。
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