シンタロー

お熱いのがお好きのシンタローのレビュー・感想・評価

お熱いのがお好き(1959年製作の映画)
4.2
ビリー・ワイルダー監督×トニー・カーティス&ジャック・レモン&マリリン・モンロー主演。
1929年、禁酒法下のシカゴ。サックス奏者のジョーとベース奏者のジェリーは、表向きは葬儀場の闇酒場で働いていたが、警察の取締りに合い、何とか逃げ延びる。失業した2人はフロリダにぴったりの求人を見つけるが、女性限定と知りガッカリ。さらにスパッツ率いるギャングの密告者虐殺現場を目撃してしまい、追われる羽目に。仕方なく女装してジョセフィン、ダフネと名乗り、バンドに潜り込み、フロリダへ逃げることに。そこでセクシーな歌手シュガーに出逢い、テンションがあがる2人だったが…。
女装コメディには「トッツィー」や「ミセス・ダウト」等の名作がありますが、本作は元祖で傑作。しかし女装のクオリティに関しては疑問符…バレバレだろ!と言いたいところですが、誰にも見破られず、それどころか男にモテまくり。特にジャック・レモンの芝居が最高で、台詞回し、表情、身のこなしが可笑しくて仕方ない。トニー・カーティスは男前なのに、女装するとヒドいわw その代わり?オイシすぎるモンローとのキスシーンのオンパレード!羨ましすぎるぞ!
このキスシーン、ダフネにゾッコンになる大金持ちのおじいちゃんオズグッドと陽気に踊り狂うシーンが、クロスカットで演出されて、もう笑いで腹が痛いです。オズグッドが最後に残す"Well,Nobody's perfect"。散々笑わせて、ホロッとさせるなんて。現代のLGBTQにも通ずる名言で、本当に様々な人達に観ていただきたいです。小道具の使い方も見事で、シュガーの隠し持っているウィスキーボトル、ギャングのスパッツが履いてるストッキング、ジョーが変装に使う眼鏡やイヤリング、オズグッドがダフネに贈るブレスレット等、ストーリーの鍵になるアイテムがうまく活かされてます。
マリリン・モンローの代表作に挙げられることが多いと思います。"I wanna be loved by you"の名歌唱。伝説の"Boop oop a Doop"。自分もモンローの主演作では1番観てるし、最も好きです。この頃から少しふくよかになられて、胸元がきわどい!知性に欠ける役ばかりと、本人は嘆いていたそうですが、コケティッシュでキュートな中に、純真さを持たせているところが唯一無二の魅力だと思います。ジャック・レモンは、本作で一流のコメディ俳優の仲間入り。ビリー・ワイルダーとはこの後も名作を残しますが、個人的にはこれがベスト!ってか、このジェリー=ダフネというキャラが大好き!ホントにいいヤツ!ラストなんか素晴らしいと思います。トニー・カーティスについては、ちょっと損な役回りというか、嫌なヤツにうつりがちなキャラ。でも実は友情にも恋愛にも熱い男なんですよね。彼の作品はバディものが結構多いのですが、相手を引き立てる力に長けていて、本作でもレモンの魅力を最大限に見せてると思います。後にモンローとの不倫を告白してますが、相手は亡くなってるのに、そういうのは知らなくてよかったかな。
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