Baad

Double XL(原題)のBaadのレビュー・感想・評価

Double XL(原題)(2022年製作の映画)
3.6
今時珍しい定番のボリウッドラブコメをポリコレ的に新しいルッキズムの問題と絡めて撮った映画。元々は劇場公開映画だったこともあり、Netflixオリジナルよりは微妙にクオリティーが高く、久しぶりにまともなボリウッドのラブコメを見たという満足感が。『ミッション・マンガル』よりは演出も音楽もダンスもいいです・・・という変な褒め方をしておきます。

一言で言うとホリデーシーズンにふさわしい、明るくて華やかな映画です。

というわけなので、劇場公開はともかく、配信や映画祭で日本語字幕がついても良い映画。特に主演二人が売り出し中のデザイナーとスポーツジャーナリストで、ファッションとスポーツ・ジャーナリズムと肥満関連の専門用語が結構多い上、セリフも英語、ヒンディー・ウルドゥー、タミルが混ぜこぜで、それが笑いのネタにもなっているので英語字幕だとちと辛いのでNetflixでも実力のある字幕翻訳家に相応のギャラを払ってぜひ日本語字幕をつけてほしい。

脚本の一人(なぜかフィルマークスでは書かれていません)はあの素敵な『ハッピーただいま逃走中』の監督ムダッサル・アズィーズで、作詞も担当しています。
劇場公開時は批評が酷く、劇的な大コケだったようですが、年末にインドのNetflixで配信が始まり、国内ランキングトップで好評のようです。

確かに気になる点は全くないことはないのですが、むしろ監督・脚本、主演の一人のフマーさんムスリムで、もう一人の主演のソーナークシーの父は会議派の政治家、フォーマットが宗教民族融和を旨とする従来型のボリウッド映画、と言うことで、何かが動いたのではないかという疑念を持ってしまいます。

ルッキズムを扱ったと言ってもヒロイン二人の能力が頭抜けているので、実際に肥満で悩んでいる人がこれ見て救われるか、というとちょっと違うような気もするのですが、その一方で夢を実現するためにどのように地道な努力を重ねれば良いか、と言うノウハウもうまく取り入れている良い映画です。

元々肥満で減量して女優デビューしたソナクシーは上手に体重増やした感じですが、迫力のある美女でがっしりした体つきのフマーさんはあえて努力して体重増やすこともないのでは?と思ったりもしたのですが、日本人が見て女優にしては太っている、程度ではインドでは太っているとは見なされないのではないか?とも思うのでまあ、仕方がなかったのかしら?

定石通りの作りがちょっと気になったりもしたのですが、この規模の映画としては歌とダンスシーンがとても良かったので、このスコアになりました。
(Netflix英語モードにて)
Baad

Baad