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愛と哀しみのボレロのToShのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
4.0
仏の名匠C・ルルーシュが、自ら企画・製作・監督を務めた集大成ともいうべき3時間に及ぶ大河ドラマ。指揮者カラヤン、作曲家グレン・ミラー、舞踏家ルドルフ・ヌレエフ、歌手エディット・ピアフという4人の芸術家たちをモデルに、 1935年から80年までの44年間に及ぶ、数組3世代のカップル、家族、友人達の複雑に交錯する人間模様を描いた作品。舞台もパリ、モスクワ、ベルリン、ポーランド、ニューヨークと多岐に渡り、時代の流れに翻弄された庶民の哀感を多角的に捉えている。ジョルジュ・ドンが踊るラヴェルのボレロは、圧巻のクライマックス。


1936年
○モスクワ:ダンサー志望のタチアナは、ボリスと結婚して息子を授かるが、第二次大戦で夫は戦死し…。

○ベルリン:ピアニストのカールは、ヒトラーから称賛されたことで生涯苦しみ続けることに…。

○パリ:バイオリニストのアンヌは、ユダヤ人ピアニストのシモンと結婚して息子を儲けるが、二人は強制収容所行きの列車に乗せられ…。

○ニューヨーク:ジャック・グレンは、ジャズ・バンドで名声を得ていた…。

そして20年後、彼らの子供たちは…。


ロシアのバレエ・ダンサー、ドイツ人ピアニスト、フランスのユダヤ系バイオリニストとピアニストの夫婦、フランス人の歌手、アメリカのミュージシャン、そして彼らの子どもたちの50年に及ぶ物語が交互に語られる。
第二次世界大戦によって離れ離れとなったり、結びつけられたり、別れ、そして再会を果たす登場人物たち。彼らのそれぞれの物語は赤十字が主催しパリで開催される「ラヴェルのボレロ」のパフォーマンスによって"一つ"となる。

クライマックスで披露される、モーリス・ベジャール振り付けによるジョルジュ・ドンの舞踊『ボレロ』には歴史的価値がある。スクリーンで観られる至福の時間。

午前十時の映画祭13にて鑑賞
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