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バック・ビートのtetsuのレビュー・感想・評価

バック・ビート(1993年製作の映画)
4.0
ビートルズの映画に興味があったので、鑑賞。


[あらすじ]

ビートルズの初期メンバーとして活動していた男性・スチュアート・サトクリフ。
5人目のビートルズと言われた彼に、一体、何があったのか?
人気バンド活躍の裏側に隠された知られざる秘話を描く伝記映画。


[感想]

ジョン・レノンの伝記映画『ノーウェアボーイ』と続けて鑑賞すると、まさしく直後から始まる物語にテンションが上がったビートルズ幻のメンバー・スチュアート・サトクリフの伝記映画。

『ノーウェア……』と比較すると、過激な表現(性描写・喫煙・嘔吐など)が多く、広くオススメしづらい内容ではあったが、間違いなく、物語の面白さはこちらの方が格上。

ライブハウス・カイザーケラーの登場や、いまなおビートルズの聖地といわれるキャヴァーン・クラブでの演奏シーンなど、ビートルズ初期の歴史を追える作品として興味深く、見終わった後の充足感は大きいため、気持ちの良いラストではないものの、見て良かったと思える隠れた名作だった。

ビートルズの活躍が光とするならば、本作で描かれる主人公の姿は、まさしく影。

伝説的バンドが頭角を現すにつれて、次第に悲劇的な運命を辿っていく主人公の姿には観ていて辛いものもあったが、そんな彼の逸話があったからこそ、ビートルズが存在したと思うと感慨深く、クライマックスには胸を打たれるものがあった。

男女関係で主人公を苦しめることになってしまうヒロインの生き方には賛同できない部分もあり、鑑賞中は複雑な気持ちも抱えていたが、それを上回るほどに、終盤の主人公の姿が記憶に残る作品だった。
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