あーてぃちょーく

ゴジラ-1.0のあーてぃちょーくのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
僕の戦争はまだ終わってない...!

第二次大戦終戦間際の1945年。特攻隊員の敷島(神木隆之介)は大戸島に不時着する。その夜半、恐竜のような怪物に襲われ零戦の機銃で応戦しようとするも恐怖にすくむ。島の伝承では呉爾羅(ゴジラ)と呼ばれていたその怪物により整備兵らが犠牲となってしまう。自らのせいで命が救えなかった罪悪感を背負い戦後日本を生きていく敷島。2年後、再び彼の前にゴジラが現れる。戦争を生き残った者たちによる、命懸けの戦いの行く末は。

『シン・ゴジラ』以来7年ぶりのゴジラ新作ということでワクワクしていた。山崎貴監督が今回のメガホンを取るということでおそらく一定以上のクオリティにはなるだろうと想像していたが、やはりなかなかの良作だった。

もともとのゴジラが戦争と結びついた存在だったため戦後という設定に回帰したのは頷けるし、戦後やっと復興してきた日本に上陸するゴジラの絶望感。良い設定だと思う。また日本が誇る科学技術の粋を集めてゴジラを仕留めるという展開は初期『ゴジラ』や『シン・ゴジラ』とも共通しておりやはりアツい。

ゴジラの造形としては最初の登場時はほんと恐竜くらいのサイズ感であれ?と思ったがその後2年間を経てとんでもなく巨大化。デカい筋肉にゴツゴツした背ビレ、怖い目。1つだけイチャモンつけるなら熱戦を放つとき背ビレのトサカが1個ずつ隆起するところ。今までにない設定だしちょっとコレジャナイ感があった。

メインとなるストーリーは神木隆之介による熱演によってすごく説得感があり、分かっていても泣けるような展開だった。整備士長・橘を演じた青木崇高も敷島を憎みながらも最後は協力するという難しい役どころを素晴らしく演じていた。脇を固めた浜辺美波、佐々木蔵之介、吉岡秀隆、安藤サクラも良かった。

佐藤直紀による音楽も良くて、特に伊福部昭のゴジラのテーマからインスピレーションを受けたと思われる、3音のリフレインを基調とした単純ながら焦燥感を煽る音楽が白眉だった。

全体としてはもうちょっとゴジラが映るシーンの割合が多いといいかなと思ったが予算の都合とかあったんだろうか。次作を匂わせるラストだったが、そういうことをして次作が作られたゴジラ作品をまだ知らないのであまり期待はしないでおこうと思う。