このレビューはネタバレを含みます
Dolby Cinemaで鑑賞。
本作が東宝製作で三十作目のゴジラなのだそうだけど時代設定が近い事を差し置いても今までで一番第一作に近い内容だった。
本作の主人公敷島はトラウマが明確に描かれていて、ヒロイン典子と出会い連れ子の明子と3人で家庭を築くが典子との結婚を頑なに拒む辺りが、一作目の主人公芹沢が戦争による負傷を理由にヒロインとの婚約を破棄したという設定と重なって見える。
芹沢の傷は右目の眼帯以外は健康に見えるので敷島と同じくPTSDが結婚を拒む本当の理由で、安易な連想だけど二人は「福田村事件」の井浦新のようにEDを患ってるのではと邪推してしまった。
明確に違うところは時代設定が第一作より遡っていて米国占領下の日本に自衛隊はまだ存在せず、米ソ冷戦の微妙な軍事バランスの上で武装を封じられた駆逐艦で戦いをゴジラに挑まなければならない事。
(序盤に出てくる重巡高雄によるゼロ距離射撃はカッコよかった)
超兵器も登場しないけれど、気泡を使ってゴジラを海に沈めて封じようとする辺りはオキシジェンデストロイヤーを思い出させてくれる。
ゴジラの存在感については人間が直接殺害される描写があったり、演者が実際にゴジラと向き合っているように錯覚する演出が怖さを増した。
シン・ゴジラが神々しくもどこか人工的で冷酷な存在なら、本作のゴジラは禍々しさを纏った生命っぽさを感じた。
日本特撮のヒロインは死なないという思い込みがあったので中盤の典子の退場はなかなかショッキングだったけど、それを敷島が戦う動機にするとか、そもそも主要登場人物で女性は二人だけで他は全部男性ってどうなんだろうと思った。
まぁ確かに盛り上がったし、涙込み上げたけどね。
音響にDolbyAtmosの表記は無かったけど重低音がふんだんに使われていて移動感も上手く表現されていました。
近年のゴジラ作品でお約束の謎めいたエンディングは蛇足。