CHICORITA主任

ゴジラ-1.0のCHICORITA主任のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.7
ゴジラ生誕70周年記念作品にして、庵野秀明監督『シン・ゴジラ』以来となる日本国産実写ゴジラ映画最新作。

正直言って監督が山崎貴氏に決まった時には不安がよぎりましたが、実際観てみるとなかなかの出来栄え。「思ったよりずっと面白かった」というのが本作の主な感想です。
しかし、傑作というほど素晴らしい映画かというとそうとは思えず、100点満点中の80点くらいかなーという感触。
それでも「ゴジラ映画」というジャンルの中では相当高水準なのは間違いなく、確実にTOP10には入ってくる作品ではあります。

設定面では時代を初代ゴジラ以前の戦後混乱期においたこと、映像面では「海戦」に軸を絞ることで先行作品との差別化を図ったこと、ストーリー面では特攻兵の生き残りを主人公としたことで「戦争とゴジラ」という初代からのテーマをより明確でかつエモーショナルにしたことなど、本作ならではの新機軸も多く、中でもCGを多用した作品に定評のある山崎貴監督らしいスペクタクル映像の数々は特筆に値すると思います。

しかし脚本の粗や叫ぶばかりの演技、いまひとつ怪獣愛を感じない演出の数々など不満点も多い。
端的に言ってしまえば、そんなに好みのゴジラ映画ではありませんでした。

私は通算10数回は劇場で見ているほどの『シン・ゴジラ』信者なので、あの方向性を期待して肩透かしを食らったから相対的に評価が下がってしまっただけかもしれません。しかし、乗りきれなかったものは乗りきれなかったのだからしょうがない。

それなりの出来の良さは認めつつも、好みの問題から傑作とは認められない、そんな一本でした。
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