ウンコロリ

ゴジラ-1.0のウンコロリのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

人間ドラマパートの醜悪さに耐えかねて、ちょいちょい目をつぶってた。どうせ目をつぶっていてもご丁寧にセリフで喋ってくれますからな。でも戦後のセットは結構好き。
神木くんが「あ」に濁点つけたみたいなダミ声で絶叫する顔のアップは特に見るに耐えず。それをゴジラで見せろや。
責任は俳優でなく、もしや脳内でアニメ絵で想定してセリフ書いて絵コンテ切ってたのでは、としか思えない監督脚本側にあると思う。
「実在しないけどフィクションでよくみるキャラ」テンプレで鋳造されたみたいな薄っぺらなキャラのオンパレード。若い男女がひとつ屋根の下で性交渉も持たず(ないよね?)仲良く暮らす不自然さとかなにあれ。
しかし昔の邦画(70年代くらいまで?)で叫ぶシーンは違和感ないのにいつからこんなしょぼいのがデフォになったんすかね。

ゴジラが登場するシーンはすべて唐突にあらわれる。姿を見せずじわじわ盛り上げてピークに達したところでお出まし!みたいなタメもメリハリもそういうのをやる気もたぶんなし。緊張感ゼロで気がついたら街で暴れているからCMとかダイジェストみてるみたいだった。ジョーズのくそオマージュなんかする暇あったら、あの名作の恐怖が徐々に迫り来るじわじわした緊張感のほうの再現に努めてよ。ギャレゴジも不満はあったがそのへんの盛り上げ方はうまかったぞ。
あと、確かに人を食べるゴジラは見たくはないけど、だからって口でつまんではひょいと遠くへ放る不自然な襲い方って、ありゃなんなんだ。
暴れてる場面は楽しかったけど。
あと橘。あのくそ野郎を作り手はなぜ好意的に描くのか。大戸島で神木くんに機銃でゴジラ撃ってこいって強引に指示だし(命令)しておいて、そのせいで神木くんは罪悪感かかえる羽目になったわけだが、その責任は橘にこそあると思うんだがなあ。「お前のせいでこんなに死んだんだあ」とかわめくファッキン橘なんぞ顔に唾ひっかけてやりゃええねん。特攻を命じた軍部同然のことしてんだから。あいつが最後まで罪の呵責なしに脱出装置つくって生きろ、とか偉そうに言ってるのなんなの。ずいぶん面の皮あついなアイツは。
中盤、自発的自己犠牲かますと思いきや実は脱出装置で脱出してました、という大したことないオチをつくるために、わざわざ必然性なく主人公視点から観客を切り離して、あとから「実は脱出装置が云々・・・」みたいな回想をいれるこの安直さって普段なに食ってたら思いつくの。ほんとはこの作り手、特攻をヒロイックに描きたくてしょうがないんじゃないの?そいや自立した女性像も、入れたいから入れた、というよりは「なんかいまのご時世、こういうのいれときゃいいんでしょ?」みたいな付け足しにしか思えんかったし。

あとあと、これはイチャモンだが平和だの反戦だの訴えてるものの、作り手も観客の我々も現在、ウクライナやガザ地区での惨劇を見て見ぬふりしてる鬼畜どもなわけで、外国人の出てこない内向き映画で内向きな平和を主張するのは一定の意義はあるだろうがそれで溜飲を下げちゃいかんのだよ。ゴジラに襲われたのと同じくらいの惨劇がいま現在、進行中の地域は間違いなく存在しているというのに。
反戦のメッセージを込めただの、受け取っただの言うなら今、一ヶ月で三千人以上の子どもが犠牲になっている地域に思いを馳せないとウソになる。これを書いてておれもそう思ったので募金します。

この作品をみて唯一よかったことは、これまではきちんと一本みたことがなかったので胸を張って言えなかったけれど、これからは堂々とこの監督をけなせるようになったことだ。
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