IDEAコメント休止中

ゴジラ-1.0のIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.7
『生き残った者の責務とは何か?』

現代日本(政府主導)vsゴジラとして、日本の官僚機構の課題を描きつつ日本がスクラップ&ビルドで立ち上がる不屈の精神を描いた『シン・ゴジラ』から7年。

今作では戦後日本(民間主導)vsゴジラとして、先の大戦から未だ立ち直りきれていない日本をゴジラが襲う。『ゼロからマイナスへ』のキャッチコピーの通りまさしく絶望的な襲来である。

前作『シン・ゴジラ』の、現代日本にもしゴジラが現れたら?のコンセプトが面白くかつ完成度が高すぎたために次作である今作は恐ろしくハードルが上がっていただろうし、今作はゴジラシリーズ30作品目の節目であるとともにゴジラ生誕70周年でもあるという3重苦の中で絶対ハズせないプレッシャーがあったと思う。

シン・ゴジラの広告に山崎貴監督は『次やる人のハードルはとんでもなく上がってしまいましたね』とメッセージを寄せているが、自身の得意とする昭和の時代にゴジラを引き込むことでそのハードルを悠々と超えてきた監督の発想・着眼点には恐れ入った。

実際に可能かどうか試してみたい空想科学読本感の面白さがある海神《ワダツミ》作戦や、大戦末期に試作段階だった戦闘機『震電』の初実写化など見どころ満載。

戦後史に明るい諸兄には、「それは時代考証上おかしい」と思われる点がいくつもあるだろうが、パンフレットに監督が述べているように《少し嘘をつくにしてもギリギリ》のラインを攻めた結果なのかなと思う。
フィクションを織り交ぜることが許されるエンタメならではの脚本を素直にお楽しみいただきたい。


パンフレットは70周年企画として歴代ゴジラのポスターギャラリーやゴジラデザインの変遷、監督のこだわり溢れるインタビューなど盛りだくさんで記念にお手元に置いておく価値あり。

グッズを買うつもりはなかったが、あまりの長蛇の列についつい雰囲気に呑まれ、パンフレットのついでにゴジラ70周年記念メダルとゴジラ−1.0グラスを買ってしまった。

封切日にIMAXで鑑賞。