からかす

ゴジラ-1.0のからかすのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.0
初代「ゴジラ」を除き
単純にゴジラの活躍を見せてきた国産ゴジラが
ハリウッド版ゴジラ(2014)の登場により
アクションの迫力や怪獣プロレス的なものの
お株を持って行かれてしまった。
そんな中生まれた「シン・ゴジラ」という大傑作。
ゴジラの活躍とともに政治空転コメディという
新機軸を絡ませることで新たなゴジラ映画が生まれた。
以降、国産ゴジラは宇宙SFや時間SFを絡ませるなど
色んな新機軸を打ち出した作品群になっている印象。

そんな背景で生まれた「ゴジラ -1.0」だが
生き延びるのも必死な戦争直後を舞台にし、
戦争帰還兵を主役にしたヒューマンドラマが
割と強めな軸となっている。
ゴジラの襲来シーンも下からゴジラを見上げるシーン
つまり一般人視点でのゴジラの恐怖を描いていて
これは良い所だなと感じたポイント。

ところがヒューマンドラマ強めな作りのおかげで
ゴジラの印象がすごく弱い。
スクリーン上暴れてはいるんだけど
結局ヒューマンドラマの舞台装置なので
そこまで強い印象を残せていないと感じる。
ゴジラを倒す作戦も外連味不足。
大体"そこ"からゴジラを引き上げるのが重要なのに
ただ引き上げることが目的化する演出はどうなの。

しかもこのゴジラがなんかカッコ悪い。
「シン・ゴジラ」ではゆったりした動きしかなかったので
目立たなかっただけなのかもしれないが
本作のゴジラは割と軽快に(重量感なく)動くので
動きが妙にガクガクでCGの粗さが目立つ。
放射熱線の吐き方も好みじゃない。
何故か青く光ったり、アニメ版での謎光輪も許容できたのに
本作のギミックは全く生物的じゃなくて
どちらかと言えば機械的な動きで違和感を覚える。
生物が熱線吐くこと自体変だろと言えばその通りなんだけど。

ヒューマンドラマ部分は結構ベタなので
まあ特筆すべきところもないんだけど
どうしても好みでない2点。
一つ目は吉岡秀隆は出しゃばりすぎのせいで
作戦指揮系統ぐちゃぐちゃになってる。
二つ目は中盤の衝撃展開を打ち消すラストの展開。
誰が喜ぶんだよ。
今まで誰も救えなかった主人公が
やっと一人救えた、で良いじゃないか。

結構不満はあるものの結論としては
こんな「ゴジラ」があってもいいじゃない、という感じ。
もっと色んな作風・新機軸のゴジラを乱造しても
いいんじゃないかと思っちゃうね。
からかす

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