こーじ

ゴジラ-1.0のこーじのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

ちょー面白かった!
そして、途轍もなく怖かった。
ゴジラの与える絶望感…。
過ぎ去るのを待つしかない、
圧倒的な暴力。
ただでさえ、
恐竜的なものが怖い私にとって、
過去イチの恐ろしさでした。

特に新宿上陸の場面。
ゴジラが歩くたびに、
畳返しのように捲れ上がる地面。
「典子さん、そこで電車に乗ってたらダメ!」
とフラグでないことを祈ってしまったが、
旧作ゴジラと同じく電車ごと咥えられて
えらいことになるヒロイン。
ついでに、旧作と同じく
実況を続けながら、ゴジラにやられちゃう
報道の人々。
んで、新宿区ど真ん中での熱線の場面。
着弾点からの爆風がビルを薙ぎ倒す、
そして爆心地に向かって風が吹き戻る。
立ち上るキノコ雲と降り注ぐ黒い雨。
原爆資料館で聞いた場面を、
凄まじい映像で見せられて、
息が詰まりそうだった。
その爆風に飲み込まれて、
敷島の目の前からいなくなる典子さん。
…もう、たまらなかった。

「私の戦争はまだ終わってない」
戦争に翻弄された人々に植え付けられた、
生きること、
生き残ってしまったことへの呪縛。
そこから、人が関わり合いながら
少しずつ再生していくこと。
しかしながら、
主人公にとってハッピーエンドに見えつつ、
その先には、きっと哀しみや困難を
ずっと向き合い続けないといけないのだろうな…と感じさせる描写。
いや、もしかしたら、
死ぬ覚悟よりも、
いろいろなものを抱えて生きる覚悟、生きざるを得ないことのほうが、尊いということ?

そういえば、
最初にゴジラが出てきた島民にとっては、
ゴジラは自然災害と同じで、
もともとそこにあって、
どーしょーもない同居していくしかないものと
捉えてたのではないか?
でも中盤以降のゴジラは、
人為的な災いも混ざっており、
それに翻弄されてしまう人生を
背負い続けるやるせなさ。

やっぱし、反戦の映画なんだな。

ヒューマンドラマとしては、
誰もにわかりやすい表現が多く、
子供達にも伝わりやすくしたのかも。
(たくさんの子どもも劇場にいました)
実は私は『永遠の0』は、
原作小説は読んだけど、
この監督の映画は見ておりませんが、
あの話で考えさせられたことに、
このゴジラを観て考えさせられたことは近いようです。
ともすれば、どっちも戦時中の価値観を美化するように受け取られがちな場面も、ちょこちょこありますが、ちゃんと考えたらそうではないことも分かるのも似てる。

あと、どーでもよいことかもしれんけど、
海で怪獣とかロボットとかが戦ってる時、
立ち上がることがあるけど、
倒されたら沈んでいくことがありますよね。
「えっ!そんなに深い場所だったの?」
「つまり、ずっと立ち泳ぎしながら戦ってたの?」
と感じてしまいます。
今回も、ちょっとそれを感じた。

いやー、本当に面白かった。
感想、書ききれないなー。
こーじ

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