このレビューはネタバレを含みます
何年か経つと忘れ去られてしまうだろうけど、「シン・ゴジラの次の実写作品」というとてつもないプレッシャーを跳ね飛ばしたすごい作品だと思います。
舞台が戦争が終わって暫く経った後ぐらいのため、(明言はされませんでしたが)戦争を経験した人間としていない人間で死生観が異なっていたり、戦争を生き残った艦艇が活躍したり、震電というロマン兵器を飛ばしてみたりと、時代設定を活かしつつ空想的な要素も上手く入れ込んでいるのは素晴らしいなと思いました(陸軍戦車も頑張ってましたね…)
ゴジラについても、シン・ゴジラ辺りからCG路線に切り替えたからか、陸だけでなく海におけるゴジラの恐ろしさや細かな所作、丁度良い大きさで暴れ回るゴジラザウルス等を描く事に成功しているので、変更して成功だなと思いました。
役者の方々については、これは酷いみたいな演技の人はそもそもいなかったのですが、個人的には、生き残った軍人でおそらく実戦経験もあり、だからこそ擦れているけど地に足ついた考えが出来るキャラを演じた佐々木蔵之介の演技のバランスがとても良いなと思いました。
また、演技ではないですが、神木隆之介の肌がちゃんと汚かったのも地味に良いなと思いました。
あと、女性陣が精神的に全員強いのも良かったです。
ただ、シン・ゴジラとの差別化のためか、政府抜きの民間の力だけで…という方向で話が進み、しかも普通に成功してゴジラを倒せてしまった事で、見方によっては本作のゴジラは「100人かそこらぐらいの民間人で倒せちゃう怪獣」という事になるので、仮にもゴジラをその程度の怪獣として扱っちゃって良いのか？というのは少しありました。
一応、海軍技官や駆逐艦艦長というバリバリの軍人が普通に加わってるので、あくまで表向きは…という設定なのかもしれませんが
一方で、山崎貴監督は「Always三丁目の夕日」等のイメージが強かったので人間ドラマがウェット過ぎたら嫌だな…と思っていましたが、(多少はそういうセリフもありましたが)全体としてテーマに沿った面白い怪獣映画として纏められていたので本当に良かったです。
随所随所で入る政府批判がややノイズな点や、先述の民間頼り過ぎみたいなツッコミ所もあるにはありますが、監督の色を出しながらこの仕上がりなのはすごいなと思いました。
次の実写作品の監督は大変だろうとは思いますが、また良いゴジラ映画を観られると良いなと思います。
