春21号

ゴジラ-1.0の春21号のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

面白い!けど?…

あまりにもフィルムマークス向きではない映画が来ました。
何故ならこれほど点数が付けづらい映画は無いからです。
いいところもある。悪いところもある。
というのはスネークマンショーのコントでもありましたが本作は正にそれです。

はい、まず冒頭の展開ここはすごく良かったと思います。
今回は人間を描くんだという点
ゴジラという戦争のトラウマを戦争に他の人以上にトラウマを抱えた主人公を添えるという点
死場所を探しているという主人公、アルキメデスの大戦で戦時中の日本の在り方を描いた山﨑貴監督ならではの描写でガッツポーズです。
ただやっぱり演出がトューマッチここからもう感情ダダ漏れで不穏な匂いが…

で、そこから戦後の東京へ
ぶっちゃけここで神木隆之介と青木崇高が政府にゴジラ案件の重要参考人として召喚されていればよかったのにそうはならずに人情劇にもつれ込んだのがこの作品の最悪の欠点だと思います。
はい、もう人情劇いらない、多すぎる。
お涙頂戴レベルまで行って酷すぎる。
これを"最近の邦画の悪癖"と揶揄する人がいるがハッキリ言って最近はそんな悪癖も鳴りを潜めていたと思う。ここまで酷いものはなかった。これはハッキリ監督の悪癖だと思う。

この人情劇の欠点は物語を鈍重にしたいしまうという欠点だけではなくて主人公とその周りの人間だけを特別扱いしてしまうという点にもあります。
他の人もたくさん死んでるんです。戦争で悲しんだのは主人公達だけではない
なのにまるで他の人達はその他大勢で主人公の後ろでただ殺されるだけになっている。
浜辺美波が宙吊りになるシーンなんていらない、その後実は生きてましたなんていらない、生きてるなら引っ張るな命を使ってお涙頂戴するのはタチが悪い
本作を持ってシンゴジラではなかった市民の死が描かれている!というのは少し違う
こんなタチの悪い描かれ方は本当にやめた方がいい
主人公のドラマを盛り上げるための背景としか命を描かないのは不誠実極まりない

あと、これは個人的な好みなんだけど
なんとかアメリカと日本政府にも作戦に参加して欲しかった。
民間主導でもいいからこんな状況でも政治が機能してアメリカも手を貸してくれて、現実世界がこんな悪いことばっかりだから映画では綺麗事を描いてほしかった。
まぁこれは個人的な好み、というか願いなんだけど

とまぁグダグダと悪いところは書いてきたけど、その他というかゴジラが出てくるシーンは軒並み良かったです。
というか単純なディザスタームービーとしてはハリウッド映画と肩を並べられるもしかしたら勝ってんじゃないか?とさえ思える少なくとも今までの邦画でぶっち切りの迫力があったと思います。
この辺の技術面の話は他と比べてナンボなので敢えて比べましたがなんかこれが作れるなら日本も負けてないぞって言えますね
アニメだけじゃないぞって
そんな勇気さえ湧いてくる。1映画ファンとして凄く嬉しかった。

特に最初の方の船を襲うシーンましたからの熱戦…あ、船が消えた…
のっけから凄いシーンの鶴瓶撃ちです。
銀座のシーンも現代の技術で原爆投下シーンを描いたらこうなるのでは?と思えるぐらい説得力があって良かったです。その後の黒い雨はそれ出すなら後遺症にも言及しろよと思いましたがまぁほんとこの辺ね爪が甘い
最後の作戦もその手があったか!どうなりました。ゴジラ映画最大の問題、いかにゴジラを倒すかという点を見事にクリアしてて唸りまたね
ゴジラブクブク作戦、二隻の船がぶつかりながらすれ違うシーンも良かった!
まぁ、この作戦も全員で生き残る!と言ってる割にはその生き残るための用意が全くされてないのは疑問でしたが

はい、兎にも角にもお祭りです。
文句も言えて絶賛もできてこれほど語りがいのある映画もありません
語りないNo1のゴジラ映画超オススメです。
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