mayama

ゴジラ-1.0のmayamaのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

あぁ、これは怒れる神の火なんだな…

とあのゴジラが口から吐く青白い光線見て思ったよね…。

深海から?やってくる巨大な怪獣ゴジラ、一体だけで成立してる、生き物の理を超えたアレは結局何なのか。
神に近い荒御魂、ゴジラ殲滅作戦を海神作戦って名付けてましたけども、ほんとはゴジラこそが人の愚かさを殲滅しに来た荒ぶる海神(ワダツミ)なんじゃないの…。

眼の前で他の船と、ようやくやってきた戦艦高雄があっさりやられたとき、あんまりゴジラ大きくて圧倒的なパワー!見せつけてきて、絶望感凄過ぎてもうそこで怖くて泣きそうになっちゃった…(早)。
その後のギャー銀座がぁ! 
見たことある建物がーー! 
な場面でも以下同文。
せっかく戦争から生きて帰れた人たちにこんな理不尽が降りかかるとか悲しすぎる。

加えて後半の海辺の田舎の農家らしき結構大きなお家、せっかく戦火を逃れたのに豪快にゴジラに踏み潰されてて…気の毒すぎる…。

しかし銀座のビルの上の報道陣、早く逃げなよ…あんなギリギリまで体張って報道しなくても…。

『ゴジラのヤツ、お冠だァ!』
『恐れ入谷の鬼子母神』
とかとか、諸々な佐々木蔵之介さんの昭和な台詞にキュンとしましたw
あと、安藤サクラさん凄いね、情念の濃そうな、だからこその、時にツンデレか!なお節介を焼いたりな距離の近い昭和初期の近所のおばちゃん役めちゃくちゃ上手かった…
吉岡さんの研究畑に生きる人過ぎてたぶんあの当時なら嫁とか世話されたろうけど逃げられてそうな、頼りなさげだけどいざというときは、な学者先生な役も板についてたな…よき配役でした。
主演の神木くんは、煮え切らない優柔不断さと、あの時代にはあってはならなかった、死を賭してもお国のために…な価値観使命感をどうしても全うできなかった弱さを体現しててよかったのですけども、なんだか平成令和の価値観を内包した若者が時空超えて異世界転生しちゃったみたいな…どうにも昭和の価値観と地続きじゃない感じがしましてね…。話し方がちょっといい家のインテリというか書生さんみたいな?浜辺美波さんもそんな感じだったな…戦禍において自分の子じゃない子供を押し付けられ、でもその子と生きるために敷島さんの優しさと弱さにつけ込んで居座った強かさと、その後の清楚で健気な嫁っぽさと銀座の事務員がね、キャラブレてない…?ってなってしまってね…。
でも、神木くん演じる敷島さんが、特攻隊員として飛んだものの、死ぬのが怖くて嘘ついて戻ってきたって告白に物凄く驚いてた場面は良かった…あの昭和初期のお国のためなら命を賭してもな価値観で生きてきた人たちにとっては、あの話はそれ程とんでもなく重くて辛くて軽蔑されて爪弾きにされても仕方ないくらいな秘密なんだよな、って分かる訳でね…
あの価値観で同調圧力かけられるの怖い。

終戦直後の、お国のためにと習ったはずが、戦争に勝てず充分に役立てないまま、大切なものを守りきれず多くを失ってしまった、生き延びてしまった…そんな戦後に多くの人たちが感じたであろう無力感や罪悪感や喪失感をほんのり追体験してしまいました。
その時代を知らないのにほんの欠片ではあれどその時代を生きた人たちの思いを知ることができる、それがフィクションの力なんだろうな~。まあ、若干綺麗過ぎるといえばそうかもですが、ゴジラがもうこの世にあり得ないにも程がある違和感バリバリフィクションな存在なので、人間ドラマパートもやり過ぎ誇張アリ分かりやすさ万歳くらいで丁度いいと思うんですよね。
ビキニ島の水爆実験の放射能によってゴジラ巨大化して凄まじい破壊力の熱線吐くとか、東西冷戦の緊迫した世界情勢により米軍の援護無しで、あくまで民間の有志で対応するしか、とか当時の時事ネタの絡め方が上手い。その残った有志が、戦争で傷ついて心残りや後悔や蟠りを残してる人たちで、平和と生き残った人達の未来のために一致団結してゴジラ殲滅というコトに当たる…熱いな〜。誰かが引かなきゃいけない貧乏くじに、『生き残れた』じゃなく『生き残ってしまった』な罪悪感持ってる人たちが行くわけでね…己の中の戦争を終わらせに行くわけですよ…。
でもそこに未来のある戦争を知らない若者も合流するんですよ…予定調和がナンボのもんじゃい、王道こそ胸熱…あんまりゴジラに急激な水圧変化きいてなさげだったけど、圧倒的なパワーの前に人間無力過ぎて蟷螂の斧だけど、それでも胸熱…

貧乏くじ引く人たちに弱いんだよね…タイタニックの船に残った楽団員の人たちのことを思い出しちゃったよ…。

てっきり整備士の人があの残っていた最新式の戦闘機に実は脱出装置仕込んでて、そのことは敷島さんには知らせず爆弾打ち込む時にこのレバー引けって騙し討ちみたいな形で間一髪生かすようにするのかなーと思っていたら、ちゃんと脱出装置あるから生きて帰るよう促す場面あって、自分でギリギリ生き延びることを選択させてて良かった。脚本の物語運びどうするか迷われたのではって思うのですが、やっぱり彼がなんとしてでも恥を忍んで生きる、って展開で良かったなと思います。ここで弱さを肯定する強さを見せて、これからの人生歩むにあたって自分で生きる選択させないと色々終わらなかったし始まらなかったと思うので…

ゴジラのテーマ、いつ流れるのかな〜と思ったら結構最後の最後、満を持してでしたね…
ギィーーーって何か軋むような音入るよなぁと思っていましたが、あれは船の軋む音だったんですね…

今回は戦後直後の昭和だったんで戦いに女性がほぼ関わらず、熱い漢ドラマになってましたが、また怒れるゴジラが年月かけて復活してしまった際は女性も戦いに参加してるといいなって…
あ、アレがあのあと蒲田くんになってちょっとシュッとした感じになって現れるってこと…?
(今回のゴジラはゴツかったな…正面顔はなんだか可愛いかったなぁ、破壊神っぷりはあんまり可愛くなかったけど…)
シン・ゴジラでは女性も作戦に参加してたっけ…時代の流れにほんと隔世の感あっていいですね。

同じ時間軸じゃないとは思うけど!

同じ時間軸だったらみんなあの怖さ忘れすぎだもんね…あのギリギリまで粘った報道の人達の頑張りも報われなさすぎる…(笑)あんなの絶対ゴジラ殲滅した日が記念日として国民の休日になってるレベルだよ…。
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