ゴジラが暴れるシーンは全体的に迫力があってウェルメイドな仕上がりになっていると思う。この時代でゴジラをどう撃退するかという方法も割とちょうどいいハッタリ具合で嫌いではない。
ただ物語のディティールの弱い映画という印象はあって、ソ連との関係がの一言で存在を消されるＧＨＱや指揮系統や組織の規模もぼんやりした謎の民間プロジェクトなどは戦後の日本にゴジラが現れたらどうなるかを真面目に検討したとは思えず、民間が力を結集して難題に取り組むという如何にも大衆好みのシチュエーションから逆算してストーリーを作ってるようにも思える。
また国民に自爆攻撃を強制した国家の存在を完全に無視したまま特攻の問題を主人公の個人的なドラマに還元して描くのはどうしても片手落ちであるように感じる。
総じてドラマのフォーカスが主人公に寄りすぎていてその外部となる事象の書き込みが浅い映画だと思うが、その分変なオタク臭さも感じなくて間口の広い作品ではあると思う。
