さるたま

ゴジラ-1.0のさるたまのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.5
非常に興行成績も良く、「今までのゴジラ映画の中でも一番怖い」「泣ける話」との評判だったので期待して鑑賞した。
過去のゴジラ映画の中で、私の揺るぎないベスト作品は『シン・ゴジラ』だった。それをも上回ると、チラ見したレビューでは絶賛されていた。

然し、期待は大きく外れた。
確かに人目線から見たゴジラの巨大さやディテールの凄さ、実写と上手く馴染んだVFXは邦画の中では相当レベルは高い。造り込みも見事だった。
だが、如何せん人間ドラマの出来が残念過ぎた。確かに涙腺を刺激する箇所は有る。でも、泣けない。大袈裟で説明的で無駄の多い「セリフ」や「演技」がクサすぎて全てを台無しにしている。こうすればきっと「客は感動したり泣いたりするだろう」的な魂胆が見え見えで、言葉は悪いが非常に「ダサく」て格好悪い。役者の過剰な演技とテンポの悪さが物語をドライブさせてくれない。どんなにVFXが素晴らしくても主人公や登場人物に感情移入出来ない。とにかく楽しめないし話に乗れないのだ。評判とは違ってゴジラも思ったよりも全く怖く無かった。然もあえて語らなくても分かる箇所は随分と饒舌に説明する割に、ゴジラについては殆ど何も言及されないし、ゴジラが存在することにも驚かない人間たち…。説明したくないか説明出来ないか、敢えてはぐらかしているようにも感じた。ただ1点、最後の決着をつける直前、「ゴジラが熱線を吐くのには一定の時間が掛かる」弱点があるのを唐突に説明されて余りのご都合主義には失笑した。一体ゴジラは何者で何が目的だったのだろうか…。

興行的には大成功するかも知れないので、この後もゴジラ映画は作り続けられるかも知れない。それは実に素晴らしいことだと思う。けれど、申し訳ないが私には合わない作品だったと言わざるを得ない。残念ながら…。
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