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ゴジラ-1.0のsowhatのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

【いやもう、あり得ない!】


まず主人公の敷島(神木隆之介)の外見ですが、まったく軍人に見えません。髪型はいつものままの長髪で、無精髭が伸びることもありません。外見も言動も、まるで令和のナイーブな若者そのままです。

母の「生きて帰れ」という言葉を守るため、戦闘機が故障したと偽って特攻を回避し、一人整備基地に降り立ちます。そこまではまだ理解できますが、その基地がゴジラに襲われたとき、20ミリ砲の照準でゴジラを捉えた彼は、なぜか引き金を引きません。部隊が全滅するのをただ傍観し、みんなを見殺しにしてしまいます。いやもう、あり得ない!なんなの?生きとし生けるものを殺しちゃいけない宗教かなんか?動物愛護団体の活動家?

敷島が焼け野原になった東京へ戻り、破壊された家のまえに佇んでいると、お向かいのおばさん、太田澄子(安藤サクラ)が出てきていきなり罵られます。「お前ら軍人がもっと頑張っていたらうちの子供達も死なずに済んだのに!!」軍の上層部の人間へ怒りをぶつけるなら分かりますが、こんなこと一帰還兵にいいます?しかも顔見知りの若者に…。太田澄子が頭のおかしな人にしか見えません。いやもう、あり得ない!

敷島は海の仕事でゴジラに遭遇しますが、危機一髪のところで命拾いします。ゴジラが東京に上陸するかも知れないと察知した彼は「どうして国は緊急避難命令を出さないんだ!」と叫びます。それはいいとして、その後彼は逃げようともせず、家でゴロゴロ過ごしてしまいます。そのせいで愛する同居人の大石典子はゴジラに襲われてしまいます。逃げ惑う人々で大混乱の銀座のど真ん中、逃げ遅れた典子!なぜかそこに敷島が!いやもう、あり得ない!

ゴジラを退治するための「海神作戦」を立案した科学者、野田健治(吉岡秀隆)が演説します。「日本軍はひどかった!軍人の命を軽く扱いすぎていた!飛行機の鉄板は薄いし、脱出装置もないし、ましてや特攻なんて!私達は一人も死なない作戦を誇りとして戦いましょう!」日本軍の武器開発担当者だったという設定なのに、まるで他人事のような軍部批判を繰り広げます。自己批判はまるでなし。いやもう、あり得ない!

「海神作戦」当日。まずい、うまくいかない!そこへ衛生局の船が「助けに来ましたよー」いやもう、あり得ない!

敷島と典子が再会するラストシーン。お母ちゃんに会いたかった子供を押しのけて典子の胸に顔を埋め泣き出す敷島…。これが一番あり得ない!子供が母に抱きつくのをお前は後ろから見てろ!!

なにしろ主人公敷島のキャラクター造形が不自然すぎて、まったく感情移入できませんでした。彼の心の葛藤も作り物にしか見えません。

あと、最後全員で敬礼するシーンがありますが、あれは誰に対してなのでしょう?もしかしてゴジラに対して?いやもう、あり得ない!

なんとも退屈な一作でした。この監督が撮った三丁目の夕日のゴジラの方が、よっぽど良かったように思います…。
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