えるどら

ゴジラ-1.0のえるどらのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.7
戦争の権化…としてのゴジラ。和製ゴジラの絶望感は心地いい。

冒頭で「こんな感じかぁ…」と思ってしまった。
なんだか懐かしくもあまり好かない邦画感を感じてしまったからだ。
だけど、最後まで見ると、マイゴジワールドというか、あの雰囲気に呑まれてラストシーンはほろりと泣いてしまった。
とはいえ結局、少しクサいセリフ回しだとか、舞台っぽい演技なんかは個人的にあんまり合わなかったかなぁ。
たぶんそこが山崎貴監督の良さなんだろうなぁ。
個人の好み加味してもめちゃくちゃ良い映画だったよ。

今回のゴジラは「ザ・日本製ゴジラ」って感じだった。
先の戦争そのものを背負ってるんだからそらそうよ。
ゴジラは「ただの怪獣」では無い。
長い歴史の中でヒーローだったり日本のマスコットだったりいろんな要素が付与されてきたわけだけど、その根幹にあるのは「日本人の悲しみ・苦しみ・嘆きの集合体」なんだと僕は思っている。
54ゴジラは「戦争を忘れるな」と言わんばかりに東京を火の海にした。
シンゴジラは「震災を忘れるな」と言わんばかりに東京を壊滅させた。
今回のマイゴジくんは「戦争は終わってない」と言わんばかりに戦争の苦しみそのものとして顕現した。
主人公たちの前に「生き残ったお前たちの戦争は終わらない」と戦後の人々に降りかかる。
そして主人公たちはゴジラを乗り越えることで自分たちの中の戦争と決着を着け戦後を歩んでいく。
今回のゴジラは前代未聞の「第二次世界大戦そのもの」だった。

マイゴジくんのお気に入りポイントはどデカい胸筋。
あとは熱戦を吐くときの背骨がバキッって上に上がるところ。
そしてあの最悪すぎる熱線ビーム(ほぼ爆弾)
ここ最近のゴジラのお楽しみポイントでもある熱線。
シンゴジでの内閣総辞職ビームのインパクトもすさまじかったが、今回の大爆殺ビーム(ピカドンビームとか言いたくなるけどさすがに不謹慎感…)もかなり絶望的でよかった。
溜めはそこそこかかるがなによりビームの速度が速い。
劇中ではかなり至近距離で見ることになり、その威力を間近で見られて大絶望だった。
後に残る雲と黒い雨が最悪で最高ね。

総評としてはまぁ良かったんじゃないの、という感じ。
というか全然普通にめちゃくちゃ楽しかった。
シンゴジラとはまた違ったテイストの、隅から隅までガチガチに純製日本なゴジラ、こういうのも面白い。
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