監督・脚本 山崎貴
山崎監督の初長編映画の「ジュブナイル」が公開された頃、白組に行って山崎監督にサシで２時間ほどインタビューしたことがあるんだ。将来撮りたい作品はどんな作品？って聞いたら、リアルな時代劇。殺陣のシーンで、血しぶきが飛んだり、痛みが観る人に伝わるような表現をしてみたいって熱っぽく話してくれたんだ。
あれからの監督の快進撃は予想以上で、邦画CGの日本代表のような監督になって作品も量産してきたけど、監督が言っていたリアルを追求した表現に該当する作品は見当たらなかった。それが時代劇ではないけれど、とうとうゴジラで表現する時がきたか！と感慨深く作品を観たんだ。血しぶきは飛ばないしグロさは控えめだけど。
戦後すぐの焦土化した日本に追い打ちをかけるように、大災害として東京に現れるゴジラ。その時人間は無力でしかない。その太刀打ちできない絶望感がリアルに表現されていたんだ。
その絶望感を払拭する力となるのが、当時のナショナリズムと、それに相対する戦争を通して芽生えた生きることへの執着。
それらを表現するために、舞台を戦後すぐに選んだんだろうなと勝手に想像させていただいたよ。
僕は、シン・ゴジラより好きだ。
