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ゴジラ-1.0のefnのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

 上からかぶりついて投げ出すやつと背びれが小舟を追いかけるやつ、あと銀座で群衆を踏み潰すやつはよかった。ワンフレームで長回しとまではいかないが時間もとってある。映画らしい面白さがあった。(それすらスピルバーグからの引用でかつ怪獣が動く度にあ、ゴジラだ、浮かべとかギャンギャン騒ぐのでアクションが失速してしまうし水兵もきれいに横並びでバカ正直なフルショットに収まってるし頭を抱えた)
 あと兵隊の軍隊仕草がよろしくないし兵種の区分が雑。軍隊は体育会系のごっこ遊びではないよ。なので主人公の根幹にある軍隊経験が薄っぺらいのだが、その体験すら戦時下のゴジラによって上書きされてしまう。これによって特攻=死の崇拝がゴジラへの復讐に置換されてしまっている。戦地でやり残してきたことについて色々と考えるがほとんどがゴジラへの憎悪に置き換わってしまっている。こういうミスリードは永遠の時もやってたけど詐欺的だしよろしくないですよ?
 イデオロギを背負った奴が一人も出てこない。というか自決しろ、と煽ってくる奴がいないのも異様。負けたのは、焼け野原になったのはお前のせい、命を大切にしろ、そんな連中ばかり。演説ですら旧軍とは違って我々は、となる。始終旧軍は観念的。いやいやまともに戦時を生きた人間なら詰問するだろうし乱闘になるだろう。本当に昭和二十年代か?というか南方帰りどころか元軍人すらいない世界線なの?描いてないことを責めても無意味、ではあるがでっかく−1とか宣伝しておきながら戦争の負の感情を抱えた人間が一人もいないのは違和感があるし、作為を感じざるおえない。特攻や戦争周りのものを意図的に隠蔽しているのでいかと疑いたくなる。
 永遠のゼロを撮ってゴジラ関連の批評をあさってシンゴジラを乗り越えようとした監督の意気込みはわかる、が気合が無知や軽薄さを露わにしてしまっている。全体的に雑。
 ゴジラ70周年の映画だが、戦後80年を迎えていよいよ忘れ去られていく戦争の記憶に思いを馳せてしまった。
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