Punisher田中

ゴジラ-1.0のPunisher田中のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.3
特攻隊員の敷島はでっちあげた機体トラブルを理由に大戸島の不時着飛行場にいた。
そんなある時、島民や島の兵士が「ゴジラ」と呼ぶ謎の怪物が姿を表すのだった...

どうも、初コロナに罹ったPunisher田中です....めちゃしんどい...マジでしんどい...ということで(無理矢理すぎる場面転換)

今作、個人的にはかなり好きな作品だった。
しかし怪獣映画はマジで難しいね...
モンスター・バースを観れば痛いほど知ることが出来るのだが、キャラクター達(人間)のドラマを怪獣に沿って興味深く展開していかなければならない所とその塩梅がかなり出来に関わってくるからだ。
しかし、今作は特攻兵として死にそびれた主人公にゴジラ同様ガッチリ心を掴まれ、登場人物達のドラマと展開の進行、ゴジラの侵攻がかなり自然に噛み合わさっていたのが特に良い。
今作は、守護神、怪獣王としてのゴジラではなく、人類に汲みする破壊神としてのゴジラを「シン・ゴジラ」同様に描いているも、時代をオリジナルに近しい戦後直後にしたことで、その時代に起き得る苦悩やその時代だからこそ出来る対抗策、テクノロジーによってかなり差別化を図れていた点にリスペクトを評したい。
70周年だからこそ、オリジナルとほぼ同じ土俵で、でも決してオリジナルのリメイク・リスペクトだけでは済ませない、新たなゴジラを見事に表現しきっていて本当に素晴らしかった。

今作ゴジラは顔が怖くいままでのゴジラにはないガタイのイカつさがあり、その姿は「戦争の後遺症」や「戦争」そのものを思わせる畏怖を感じるものがあった。
そのゴジラと相対する、戦争とゴジラによってあらゆるものを失った敷島の対立構図がシンプルながらもドラマをより重厚に仕上げている。
ゴジラに対してちっぽけな人間達が命の火花を散らして、再度戦争を仕掛けるその様の描き方が実に良い、やはりリヴェンジェンスと絶望へと一縷の望みに懸けて争う人類を描いた作品は最高だということを改めて感じた。
あのメインテーマと戦艦・ゴジラの相まった画面を生涯忘れることはないかと思う。
これだけ絶賛した後に言うのもあれだが、同時に余りにも説明的すぎるセリフと逆に説明が一切無さすぎる箇所のバランスがガタガタなのとオマージュ元がわかる他作品シリーズのオマージュシーンが白けた部分だった、惜しい...

一部でも云われているご都合主義展開はぶっちゃけ許せるくらいには楽しませてもらったので個人的には無問題。
エンタメとしてはかなり高いクオリティの作品となっているので是非。