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ゴジラ-1.0のTのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
2.9
ドラえもんにドラクエ、クレしん、寄生獣、ルパン、そしてゴジラ。日本が誇るコンテンツをことごとく蹂躙していく山﨑貴監督こそがゴジラそのものなんじゃないか。

いちいち独白で感情を説明してくれる。物語の説明書がむき出しになっているような構成も気になる。

ディテールも甘い。
冒頭の空襲警報、的になるから鳴ったらまず電気消しなさい。警報鳴ってからサーチライト。じゃあ誰が警報鳴らしたの…。

作戦のために集まった人たちが危険を感じて帰ってしまう不思議。誰に何と言われて集まったのか。「でもやるんだよ」を言わせたいためのかませ犬として集められた人たちなのか。

褒められるのはゴジラ登場を焦らさず即暴れさせたこと。初代ゴジラ的に焦らさないのならこれがベストだと思う。人間を食べたりしないのもいい。

海外作品に比べるとCGのチープさ(特に人間と絡む瞬間)はさすがにあるが、及第点。熱射砲はカッコイイ。せっかく黒い雨もやったのだから、キノコ雲はもっとちゃんと見せるべきでは。

【諸事情あって書き直し】

終戦した1945年より後、初代ゴジラの公開した1954年より前という絶妙な舞台設定の『ゴジラ-1.0』。焼け野原よりはマシになったが戦後復興はこれから、という時代背景をそのまま対ゴジラに望む日本人たちのメンタリティに重ねています。

敷島がゴジラに立ち向かうことすらできなかったことと、特攻しきれなかったこと。ゴジラと戦争を「すり替えて」いくセッティングがまず上手い。ゴジラの登場を焦らさずいきなり大暴れさせてしまうのも合わせてつかみはバッチリ!

その後も東京破壊や原爆など、戦火を思わされるシーンが続きます

それだけに「やり直したら勝てたんじゃないか」「より良い戦争ができたんじゃないか」にも見えて『オッペンハイマー』のように「日本人として言いたいことは大いにあるが」と前置きはしたくなります。

同じノーラン監督の映画で言えばラストの展開は『ダンケルク』!無条件に胸を熱くさせます。

みんな褒めてる海ゴジラ。追いかけられながら反撃、巨大な顔がせまってくる画がフレッシュ!

山﨑貴監督は相変わらず人間ドラマが臭すぎてキツい部分があるけれど、ゴジラのテーマがかかればそんなものぶっ飛ばしてしまう破壊力があります。今のうちに映画館であの音楽を聞くことをおすすめします!
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