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ゴジラ-1.0のmitzのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.0
日本が誇る映画スター「ゴジラ」の生誕70周年記念作品。山崎貴氏が監督・脚本・VFXを手掛けた国産実写ゴジラ映画30作目。
舞台は1947年。戦後の復興が進む中、突如として巨大怪獣が上陸し街を破壊するという「負」の物語。そこに戦争から逃げてきた特効兵・敷島のドラマが併走する構成です。
VFXに関してはハリウッド版に見劣りしない出来映え。序盤の「ジュラシックパーク」や「ジョーズ」のような「昭和東宝映画」からは逸脱したシーンの連続は気になるものの、中盤からあのテーマ曲と共にゴジラが銀座の街並みをなぎ倒す一度目のピークの迫力は見事です。
反面、ヒューマンドラマの中心軸には敷島の戦友たちの死に対する罪悪感があり、個人のドラマが前景化されゴジラの存在意義が後回しになる物足りなさが残ります。
結果的には「ゴジラ大喜利」の果て。国家として戦った「シン・ゴジラ」との差別化を狙い、政府の機能していない戦後に民間人だけで討伐を目指す泥臭さが「怪獣映画」としての外連味を損なっています。皮肉なことに「怪獣映画」としての「シン・ゴジラ」のクオリティの高さを証明した「三丁目の夕日」臭のする人情映画です。
来年にはハリウッド版 "Godzilla x Kong" の次回作の公開もあり、大喜利はこれからも永続化されます。
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