旅するランナー

ゴジラ-1.0の旅するランナーのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.1
【生命力】

泣きっ面にゴジラ。
敗戦後の東京に、ゴジラが襲い掛かる設定。
駆逐艦2隻でフロンガス発生器をゴジラにグルグル巻きにする作戦、銀座での実況中継、ミニチュアのような電車、逃げ惑う民衆など、
昭和29年版ゴジラへのオマージュを感じます。
それと、伊福部昭先生によるテーマ曲には未だに生命力があるかのよう。
この曲が流れると、気分が上がります。

オンボロ木造船に襲い掛かるゴジラも、「ジョーズ」並みの迫力があります。
乗組員(神木隆之介・吉岡秀隆・佐々木蔵之介・山田裕貴)の存在感も、ロイ・シャイダー · ロバート・ショウ · リチャード・ドレイファスに負けてません。

今作の一番のポイントは、命の大切さでしょう。
戦争で生き残った人たちなので、これまでであれば、死に場所を求める展開になるはずです。
そこを、安全第一、命を守ろう、生命力の尊さをメッセージにしたところが、今の時代に合っています。

そして、ゴジラの自己再生能力。
なんという生命力。
これは、この地球上にいつまでも残り続ける戦禍の比喩なのかもしれません。

そのゴジラ以上に、ものすごい生命力を感じる、浜辺美波ちゃん。
列車で宙ぶらりんになったり、海にドボンと落ちたり、爆風に吹っ飛ばされたり、トム・クルーズを超える大活躍です。
彼女なら、激しい戦いの芸能界でも生き残ることができそうです。