おなべ

ゴジラ-1.0のおなべのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.7
◉This is ゴジラ。

◉生誕70周年記念となる本作。大のゴジラファンである《山崎貴》監督が脚本・監督を務める。※好きすぎて『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の冒頭にGを登場させたのは有名な話。

◉初期ゴジラより前の時代背景を舞台に、戦後日本の東京の街を蹂躙し暴れまくるという、どう考えてもスーパーハードな設定。ハリウッド版ゴジラとも違って、情緒のカケラも容赦もないGを前に、人類(日本)はどう立ち向かうのか。

◉初期のようなパペット感的な動きのないリアルで迫力のあるCGゴジラが見どころ。ゴツゴツとした質感やキマっちゃってる目も恐ろしく、怖やこわや…といったところ。

◉記憶に新しい《庵野秀明》監督の『シン・ゴジラ』ともテイストがまた違って、『シン・ゴジ』は淡々と物語が進むのに対し、『-1.0』は《山崎》監督という事もあり、かなりドラマ性を持たせている。

◉個人的には、突っ込みどころが多く見受けられ、VFXやストーリー、高揚感含めハリウッドゴジラに軍配。知人とも同じ意見になったのだけど、「ゴジラ」のように数多くリメイクされている作品は、どうしても他作品比較してしまい、厳しい目で観てしまった。











【以下ネタバレ含む】











◉主演《神木》君、どんな役もこなせてしまう器用な役者で、出る作品どれもが大ヒットしている(※《菅田将暉》のANNに「ドラマが始まる」で《太賀》と共に出演時、この話題に)。
ただ、本作に限っては《神木》君の前に「カメラがある」のを感じてしまったのと、「演技をしている感」が気になった。見方が尖りすぎて理解不能かもしれないけど、リアリティには「演技としてのリアリティ」と「作品世界のリアリティ」の2種あり、作品世界のリアリティを演出する演技力・表現力は改めて大事なんだと思った…(前に《ヒュー・ジャックマン》か誰かが同じような事を言ってた)。

◉脚本で言うと、《浜辺》奥さんだけ吹き飛ばされた後、もっと奥さんを探して欲しかった(仮に遺体であったとしても)のと、Gを見事に倒し、2人とも生きのびるハッピーエンドのラストに映画好きとしてはモヤモヤ…。最終戦の出撃前に明らかに伏線張ってたし、《浜辺》奥さん、顔半分吹き飛ばされててもおかしくないよ!

◉Gも知能が優れてるかと思いきや、海上で明らかに喰らってはいけない爆弾鉄球💣を食べちゃうし、あんなに上手くいくものかと不思議に思ったり…(爆弾でも食べちゃうG天然で可愛いけど)。街を破壊するシーンが少しだけだったのも残念だったため、もっと恐怖と絶望のドン底に突き落とさんとする熱い心意気&ビジュアル、そしてやる事なす事もグチャグチャのGを観てみたい!

◉今度はキングギドラ・モスラが降臨して、『-1.0』ならぬ、『-10.0』ぐらいの救いようのない絶望を味わせて欲しい…。もしくは、B級C級に振り切って、G×100体による地鳴らし『G101匹大行進』でも。
おなべ

おなべ