NaoMaru

ゴジラ-1.0のNaoMaruのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.7
山崎 貴 監督作品

舞台は戦中の大戸島と戦後の東京。ゴジラはビキニ環礁の核実験が影響し、巨大化・強暴化して東京へ上陸した。銀座の街を圧倒的な力で破壊し尽くす。電車が宙を飛び、ビルが粉々に潰される。今作のゴジラは大きく突き出た背びれが特徴だ。砲弾を浴びても弱体化せず、背びれが青光りして逆に強大化した。

物語はシンプルで分かりやすい。男たちは戦争でこころが傷つき、生き残ったという自責の念にかられて生きている。元特攻隊員の敷島(神木隆之介)と元戦闘機の整備士、橘(青木崇高)らがその代表である。ゴジラは戦中に小笠原諸島の大戸島で彼らの仲間を殲滅。彼らは戦争+ゴジラの二重苦を背負う。

戦後の闇市で敷島は偶然、典子(浜辺美波)とその連れ子に出会い、一緒に暮らし始める。3人とも他人ながら、家族としての思いが芽生えてゆく…。最終章は敷島ら元海軍兵士が集結して「ワダツミ作戦」と称して、ゴジラと最終決戦に挑む。戦中とは異なり、彼らは決戦にも勝ち、生還するという思いも共有した。

終幕は喜びで目が潤むほど、家族でも安心して観れるだろう。ただし私には物足りなさが残った。終わってしまえば予定調和の甘さを感じた。ゴジラはなぜ生まれたのかーー核の汚染や環境破壊などの背景があってのことで、人間が産み出したことを忘れてはならない。ゴジラ誕生の意味をもっと深掘りし、映像化してほしかったな。

【あとがき】
近年のゴジラ映画「シン・ゴジラ」と比べると、時代設定の違いもあり、どう比較するかがむずかしい。ただ両監督の表現の違いは色濃く出ており、好みから言うと、私は「シン・ゴジラ」に軍配を挙げたい。すでに『ゴジラ』は古典化しており(70周年)、映画監督にはとても魅力的な存在であるのは間違いない。
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