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ゴジラ-1.0のハルのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
冒頭まず思ったのは、「神木くん大人になったなぁ〜」と。
メイク込みとはいえ、だいぶ勇ましい顔つきになっていて、格段に『男臭さ』が漂っていた。
もう30を越えたから当然といえば当然だけど、子役のイメージが強い彼も変わっていくんだろうな。

そして、本題の物語。
実に単純明快。
ゴジラ出現→ゴジラ暴れる→ゴジラ倒す。
大まかにはこれ。
ただ、山崎監督ならではの人間ドラマをふんだんに取り入れているのが差別化ポイント。人物描写が深堀りされ、会話劇としての側面が強調されている。
そのため、純粋にゴジラとの戦いを突き詰めてほしい層からするとやや物足りないかも。
“期待”をどこにおき鑑賞するかによって、満足度が変わる構成。

ちなみに作中の舞台が銀座だったので、TOHOシネマズ日比谷でみていた自分は「いま襲われたら即死だな…」なんてどきまぎしつつも、昭和の銀座がなぎ倒されていく爽快感と絶望感のジェットコースターを満喫しました。

また、ドラマパートを緻密に構成しているため、キャスト陣は充実。
佐々木蔵之介、山田裕貴、吉岡秀隆、安藤サクラ、青木崇高。
サブキャストと言うにはあまりにも豪華な面々。
みんな上手!
中でも一番お気に入りのキャラクターは佐々木蔵之介が演じた秋津。
『大工の源さん』みたいな江戸っ子長のおやっさん姿が板にハマる。
徹頭徹尾ブレずにやりきり、クセ強NICEキャラを好演していた。
一歩間違うと滑稽にみえてしまう存在、芝居巧者がやると“味”になるんだからベテランの技は巧みだ。

続いてヒロインの浜辺美波。
清楚なルックス、感情の表現力もある役者だけど、『女優』というよりはまだ子供に見えてしまうかな…
神木くんとのコンビだと二人とも低身長+華奢だから、尚更。
そのせいか、終戦直後という時代の重みに押されている印象。
また、触れている方の多い“例のセリフ”
「あれが、ゴジラ…」
いやいやいやいや、身体中のコスモを爆発させてでも、全力で逃げるシチュエーションでしょ(笑)
そんなツッコミが劇場中から浴びせかけられそうな展開にやや失笑を混じえつつも、なんだかんだ楽しめちゃったけどね。

庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』や今回の山崎貴監督テイストの『-1.0ゴジラ』
有名監督が『ゴジラ』という特撮文化のレガシーを調理していく“遊び”は非常に良い試みだと思う。
プロのクリエイターの『コンテンツ遊び』を堪能できる幸せな時間に感謝の思い。
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