なお

ゴジラ-1.0のなおのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
「戦後の日本にゴジラが襲い来る───」
そんな絶望感ギガMAXの設定に興味をそそられ鑑賞。

ゴジラ映画としては37作目、国内で制作されたゴジラシリーズとしては記念すべき30作目の作品でもある。

✏️泣きっ面にゴジラ
『ALWAYS 三丁目の夕日』では、戦後日本の目覚ましい復興を描いた山崎貴監督が、今度はまさか戦後日本の更なる「破壊」を描くなんて…
「そうきたか!」と感嘆する場面がある一方で、「まあそうなるよな」と悪い意味での"予想通り"が織り交ざった映画。
まあでも、総合的に見ればちゃんと料金を払って映画館で見る価値は十二分にある作品だと思います。

神木隆之介に浜辺美波。
つい数か月前まで放送していた朝ドラ『らんまん』コンビが主演ということもあり、物語序盤はなかなかゴジラの世界観に集中できない時間帯もあれど、それ以降は戦後復興を遂げつつある日本を再度ぶっ壊すゴジラの大暴れにひたすら絶望。

もはやゴジラというよりゴリラみたいな見た目をしたゴジラが、当時日本の復興の象徴だっただろう銀座の街を蹂躙・大破壊するシーンでは自分も口をあんぐりと開け、茫然とするほかなかった。

この「絶望」を表現する神木隆之介くんの迫真の演技も光った。

過去自分が見てきた作品では、どこか天真爛漫だったり世間知らず、頭のネジが1,2本抜けてる(失礼)ような、全体的にフワフワッとした人柄を持つ役を演じることが多いイメージだった。

しかし本作では、「戦争とゴジラ」という、『シン・ゴジラ』のキャッチコピーでも取り扱われた「現実」と「虚構」の両方から深い心の傷を負い人生を悲観している敷島浩一という人物を見事好演。
何様だよ、と思われるかもしれないが、彼の演技の幅が本作にてさらに広がった感じがした。

一方で「まあそうなるよな」という場面がちらほらあるのは少し残念。
特にゴジラ討伐における一連の作戦遂行シーン。

「作戦が失敗に備え二段構え」なことと、「敷島が元特攻隊員である」という設定の組み合わせの影響で、ゴジラ討伐までの流れはある程度予測可能。
どうでもいいけど、そろそろこういう怪獣映画とかで「やったか!?」っていうセリフやめにしませんか。やれてないので。

まあでも、敷島が元特攻隊員であり、その設定を活かしたゴジラへの攻撃…!という流れで、単に特攻を美化するような結果になってないのは良かったと思う。

そして収まるところに収まったか…?という展開から一転、不穏すぎる最後。
個人的にはあの終わらせ方、つまり完全なハッピーエンド、としなかったのは大正解。
次回作があるにしてもないにしても、様々な考察や話題を呼ぶ意味深すぎるラストシーンだった。

☑️まとめ
戦後の日本を襲う新たな"絶望"。
他国はおろか自国からも支援を受けられない状況で、市井の人びとの知恵と人情、そして諦めない心で「生き抜くため」戦い続ける───という物語は、扱うテーマこそ違えど「ALWAYS」にも通ずるものを感じた。

さて気になるのは今後の展開。
次回作があるとすればそれは「-2.0」なのか、もしくはそれ以上のマイナスなのか。日本がプラスになる日はやってくるのか。
妄想と期待は尽きない。

<作品スコア>
😂笑 い:★★★☆☆
😲驚 き:★★★★★
🥲感 動:★★★★☆
📖物 語:★★★☆☆
🏃‍♂️テンポ:★★★★☆

🎬2023年鑑賞数:96(46)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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