ゴジラ-1.0のトゥーンのネタバレレビュー・内容・結末

不覚にも号泣してしまった。
ゴジラを捉える大胆なカメラワークは、ゴジラの恐怖を最大限にまで映し出した。サメや恐竜ぽくも見えたが。
命を粗末にした政府を批判しながらも、この国にいまも生きている人々を守りたい心を持ち、精神の戦争に終止符を打とうと、ゴジラの戦いに立ち上がる人々の熱いドラマが絡まり合い、中盤の銀座のシーン以降から涙腺が破壊された。この映画、明らかに太平洋戦争の続きをしている。敗戦した日本は勝たねば戦争を終わらせられない。音楽も永遠の０で流れていたのをモチーフにしたものを流していたし、永遠の０を意識したつくりになっている。特攻を絡めさせたのも、結果として敗戦して無意味となった兵士たちの想いの供養であると思う。決して特攻を美談化するわけではなく、彼らの想いを背負って脱出装置のある特攻で成功を収めさせる。つまり、この映画は供養であり、鎮魂である。
最初はクサい台詞に過剰な説明で嫌気がさしていたが、いつの間にかこの身をかけて戦う姿に胸打たれて、ずっと視界がぼやけていた。
敷島と典子の関係がいい。心に折り合いをしっかりとつけなければ、前に進めない誠実さがあって。戦う理由も、個人主義でありながら、それが社会のためにもなっている構図が現代人に即したものとなっており、アップデートされていると感じた。ハッピーエンドのようだが、-1.0というように、すべてはまた再生する。幸せも不幸も再び訪れ、また我々を苦しめる。
IMAXで見ればよかったな。