Yムラカミ

ゴジラ-1.0のYムラカミのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.6
映画館で観て良かった映画の一つだ。

まず1954年の最初のゴジラと同様に大戸島から始まったり、オキシジェンデストロイヤーを思わせる水槽でのゴジラの攻略の方法、さらにゴジラが電車に噛み付いたりラジオ放送中の人たちが襲われるシーンも初代ゴジラと同じ展開でゴジラ好きには分かる胸熱の展開だった。
初代ゴジラは恐竜時代の生物という設定だったので、最初に登場したゴジラも恐竜のような姿だったのかもしれない。

どうしてもシンゴジラとの比較が出てくると思うが、個人的には原子爆弾に関するデーモンコア実験でのプルトニウムの光が青白いということからゴジラの光線が青白かったことは良かったと思った。(1989年のFat man and little boy という第3の原爆に関する映画を参照。)
また、遠くから広範囲や望遠レンズでの圧縮を使ったシンゴジラとは反して、ローアングルでの人間視点かつ接近した距離感でのゴジラの捉え方がめちゃめちゃ迫力があった。

CGに関しては深海魚が浮いてる海で窓に反射した海には深海魚がいなかったりと多少のミスは見えたが(もちろん反射面のCGは難しいのだろうが...)、艦隊や街並みなどは本物と見間違えるかのような美しい再現でゴジラのデザイン、特に熱を放射するシーンなどは尻尾から突起が持ち上がり、初代ゴジラと同様にガスのようなものが出て放射してたので良かった。
爆発はまさに原子爆弾だろう。

ストーリーに関しては無精髭を生やして少し生理的に気持ち悪い神木隆之介さんが最初は逃げて臆病なダメダメなとこから始まり、途中の「もう終わってもいいよね」みたいなセリフが自分の中での戦争を意味していることが後々わかってくるのがとても良かった。
最終的にはいろんな物を背負いかっこよく戦っている。
ちなみに初代ゴジラでは芹澤博士が自分もゴジラと共に死ぬことを選んだことの対比としても面白いラストだった。

浜辺美波に関してはちょっと現代的な綺麗さを醸し出している感じがしたが、銀座でゴジラと対峙した時はとても衝撃的だった。
あの映像は3.11の津波を思わせるようでめちゃめちゃ心がグッと持ってかれた。
神木隆之介に対して「お前はまた守れなかったのかよ!何やってんだ!」みたいな悔しさが降り注ぐ黒い雨と共に伝わってきた。

映画の冒頭で戦闘機が上手方向に着陸して逃げたわけだが、ゴジラと戦いにいく際にはしっかり戦闘機は下手方向へと向かって逃げていた時とは反対方向になっている。

安藤サクラさんは最初は家族を失った感情をぶつけるけど結局めちゃめちゃ人情深いし、山田裕貴さんの日本のために「俺も連れてってくださいよ!」に対する佐々木蔵之介が「これからはお前に託した」的な後世にバトンを渡すかのようなセリフもカッコ良い親父って雰囲気が出てた。

最後に関してはショーシャンクのように多くの人が幸せになるような終わらせ方にしつつ、まだこの先にも展開があるという続きも作れるようなもので終わっていたのでこの先があるなら楽しみだ。

音に関してもドルビーシステムの立体感のあるもので、ゴジラのあの音楽がどこで流れるかというと、ゴジラが向かってくる時ではなく民間で立ち上がった人たちがゴジラへ向かうときに流れたというのが最高に胸が熱くなる。
そして最後の絶望的なゴジラの咆哮の際に無音になりまさに観客も息を呑む中で遠くから聞こえる戦闘機の音。
ちゃんと音で表現することにもこだわっていたのは良かった。


自分の考えに囚われて年間2万人以上も死を選ぶ今の日本と、日本や主君など誰かのために死を覚悟した戦争中の人たちでどっちが幸せなのだろうという不謹慎なことを考えていた。



実は1954年ゴジラが当時だとすると、この物語は1945年なので初代よりも前の時代になる。水爆実験の前という設定だ。
このゴジラは細胞が再生するため、ラストでゴジラの細胞がブクブクなってた際に今後水爆実験により初代ゴジラが誕生するのではないかと推測もしたりした。

私自身も海の上で船で撮影をしたことがあるが、CGの違いを見るに実際に海で撮影しており揺れなどかなり大変だろうと思った。
ゴジラに追い回されるシーンとか手に汗握るよね。

個人的に興味はないが、戦闘機や艦隊などに詳しい人はその辺もワクワクするのではないだろうか。
Yムラカミ

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