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ゴジラ-1.0のLEOのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.3
乗機が故障したと偽り大戸島の守備隊基地へ逃げた特攻隊員の敷島浩一だが、守備隊基地はその夜に島の伝説で語り継がれる恐竜のような生物「呉爾羅(ゴジラ)」によって全滅。
戦争とゴジラによるトラウマを抱えてしまった敷島はその後は日本に帰還、焼け跡の中で典子と赤ん坊の明子と出会い共同生活を始めるものの、水爆実験によってさらに巨大化してしまったゴジラによって東京が壊滅させられ典子も行方不明になってしまう。
他国の軍隊はあてにならず、東京壊滅によって日本政府もあてにならない中で民間によるゴジラ壊滅作戦が計画されると、典子の敵を討つため、明子の将来を守るため敷島はトラウマを振り切って作戦に参加し特攻を覚悟で戦闘機に乗り込むが…という話。

いやぁ~ゴジラ生誕70周年記念作品で、国産の実写作品としては「30作目」の作品としてふさわしい作品だった。
これと比較すると『シン・ゴジラ』は変化球に逃げたスピンオフ作品、ハリウッド版は単なる“お遊び”に見えてしまう。

まず一番の勝因は、終戦直後の日本を舞台にして、敷島浩一を主人公にしたヒューマンドラマに作り上げた事だと思う。
だからこそ『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで培った昭和の街並みの再現や、『永遠の0』『アルキメデスの大戦』培ったバトルアクションなど、過去作品での経験を十分に使えたんだと思う。

戦争で死ぬことから逃げた男が、悔恨を振り切って新たな生活を一歩踏み出そうとしたタイミングでゴジラによって戦中に引きずり戻されるというストーリーも、戦後の影響を国際政治的にも精神的にも未だにずっと引きずり続けている日本社会の在り方を今一度見つめ直すべき今だからこそ沁みる物語だと思う。

もちろん手放しでは褒められない粗もある。(シーン転換のほとんどが敷島の気絶や睡眠からの目覚めじゃん!とかw)
でもそこを圧倒する存在感と重圧、そしてパワーを持っていた。


『シン・ゴジラ』では「凄い!」と感じ、本作では「怖い!」と感じた。
ゴジラはもともと「核の申し子」であり「災害」であり「絶望の象徴」だ。
つまり「怖い」と感じさせることこそゴジラの本懐ではないのか?

まさに原点を踏襲し、新たな展開に導く素晴らしい作品ではないか!

追記:明子役の子役ちゃんが、またいい味出してるんだコレが😭
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