moon

ゴジラ-1.0のmoonのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
ドシラ♩ドシラ♩ドシラソラシ♪ドシラ♩…
おー!コレコレ!

この曲よ!「ワダツミ作戦開始する!」と共に流れたこの曲! もう…鳥肌立った!

力強く、頼もしく、これぞ!ゴジラ映画!

この曲!改めて《傑作❗️》だと思った。

私はゴジラvsモスラくらいからリアル劇場で観てた世代…その頃からゴジラ映画は怖いより、楽しく面白いという印象だった。遂には、ゴジラが「シェー!」したり(笑)、ミニラなんてゴジラの子?まで登場する、怪獣ならぬ快獣映画になってた。

でも、高校生?頃、初めて初代ゴジラ(1954)をTVで観て、ゴジラがどんな存在なのか、そして、真面目で怖い映画だと初めて知った。
でも、その後はゴジラ映画を観ることもなく過ぎ、忘れた頃にハリウッド版ゴジラが…その姿はCGで作られ、私が知ってるゴジラとはまるで別物。観なかった。
そして、あの「シン・ゴジラ」が登場する。監督が庵野さんという事で、期待した。第一形態のグロテスクさには、参った💦が、成長して行き 得体の知れない怖いゴジラが ソコに在った!
懐かしい「ゴジラのテーマ」も流れた。

でも、私は今まで、この曲を誤解していた。

ゴジラが登場するシーンで流れ、ゴジラの強さを盛り立てる為の曲だという印象を持ってた。今まで、何回も聴き、ゴジラと言えば、「ドシラ♩ドシラ♩…」で馴染み深い曲。

けれど、今作でこの曲が流れた時、これはゴジラの為ではなくて、超巨大な敵 ゴジラに立ち向かう人間達の覚悟や勇ましい姿を表現した曲だったのだと解った。

そして、聴きなれた曲なのに、初めて感動した。興奮した!
ゴジラが、人々を70年間にも渡って惹き付けていたのは、紛れもなく、このゴジラのテーマを始めとする「伊福部昭」氏のサウンドトラックがあったからではないのか!

エンドロールにも流れ、またまた鳥肌立った。なんて名曲なんだろう…足音の地響きと、ラストの咆哮!痺れた。
このテーマ曲を聴く為だけでも劇場に通いたいとさえ思った(笑)

「ゴジラ-1.0」私も夫も娘も友人も、席を立つ時「スゴい」「面白かった」と大満足だった。
12月1日から全米で公開され、かなりの好評を得ているらしい。
やはり、VFXの見事さだろうか。ゴジラの圧倒的な破壊力と怖さ、そして生物らしからぬ生命力への絶望感の中、非力な民間人が知恵と団結を元にゴジラに立ち向かう姿へのカタルシスからか?
敷島の心の成長と仲間、家族の繋がりに対する共感からか…

どんな理由でも、この作品が日本映画(実写映画)を世界の人々に繋げてくれたら嬉しい。




白状すると、山崎貴監督作品と聞いて、全く期待してなかった。
「ALWAYS三丁目の夕日」はとても面白かった。続も良かった!けど…クレしん原作の「BALLAD名も無き恋のうた」を観て、原作の良さを尽く消してしまった事に激怒。その後の「ALWAYS 64」も、微妙…それからは、山崎作品への不信で観てなかった。トドメは「ドラクエ」。ドラクエファンの娘は鑑賞後、不満の丈を1時間に渡って演説(笑)した。ああ、やっぱり💦…ダメか…と。


同じく 思っていた映画ファンは 少なくなかったのでは?

でも、今作で、少し不信感は薄まった。少し、見直した。
山崎監督の白組をはじめとするVFXチームの仕事は素晴らしい‼️

そして、音楽が良かった!最初にも触れたが、ゴジラのテーマ(ドシラ♫ドシラ♫〜)が、シン・ゴジラより強く雄々しく響き、ゴジラ登場時のヒタヒタと迫り来る恐怖と絶望感溢れる劇伴❗️鳥肌立った!

俳優陣の演技も良かった‼️
神木、浜辺コンビは朝ドラ(の方が後に撮影)でも見事に相性が良く、今回の映画で
の共演が活きていたと思った。

全体通して、とても満足度が高い作品だった。が、ひとつ、ちょっと引っかかった事が…。




【この先 ネタバレ⚠️】




それは敷島が東京に帰った時期、12月とあった。終戦から4ヶ月後…
NHKの東京の150年というドキュメンタリーを今作を観る前に見たが、日本人(東京人)は、終戦と共に生まれ変わったように米軍の兵士が持つカメラに向かって笑っていた。そして、なんと‼️8月30日には、日比谷で映画館が開き、沢山の人だかりが出来てる映像を見た‼️終戦から僅か半月しか経ってないのに…。
日本人のその 凄まじい切り替えの速さに 日本人の底力とポジティブさがその後の日本を発展させた大きな要因だと納得した。

なので、敷島が生きて帰ったのを知った隣人の澄子が、終戦後4ヶ月も経ってる時点で、あのように怒りをぶつけるのが、違和感あった。日本人は戦争をしていても、家族(知人)が死ぬのは決して望んではいなかったと思うし、敗戦した時は 本心は安堵したのではないか?
東京大空襲(3月)で家族を亡くした澄子だが、敷島が特攻に行くのを何で知ってたのか不思議。敷島の両親も空襲で死んだとなれば…(特攻は終戦末期の作戦では?)
あそこのシーンは、生きて帰った敷島を温かく迎える設定で良かったのでは?
敷島自身は後悔の念で終戦を迎えれない暗闇に居たから、隣人の澄子から「よく生きて帰ってきたね!お疲れ様でした!」と言われ、それが却って更に不甲斐なさ、申し訳なさを感じる…という方が、敷島のいたたまれなさが際立ったのでは?

何はともあれ、勇気と希望を感じるゴジラ映画だった。ラスト、シン・ゴジラさながらの不安もチラつかせて…いたけど。

そして、地元の旧市役所がロケ地だった事も大変嬉しい出来事だった。

《 追記 12/ 28 》

この映画のストーリーの魅力について、今までハッキリ明文化出来ないでいたが、あるレビュアーさんと話せた事で ようやく言葉に出来た。


初登場シーンの敷島は 特攻から「死ぬのが怖くて」逃げて来た、気弱な一人の平凡な青年だった。大戸ゴジラを撃てずにいたのも「怖かったから」…そんな敷島だが、典子や明子と出会い、仕事仲間との交流の中、ゴジラと再び出会う。典子を失った事で敷島の中に生まれた「絶対に抗ってやる!!戦って明子を今度こそ、死んでも守ってみせる!」という決意!その覚悟が見える神木さんの演技が良い。最初、敷島を信用せず見下した橘も、次第に敷島の決意を理解し、決戦の日、敷島から 今度こそ日本と家族を守る為に、ゴジラに突っ込んで死ぬ!という覚悟を感じたからこそ、橘は脱出方法を教えた…。もし、あそこで少しでも またも逃げるような気配を感じたなら、橘は教えなかったかもしれない。そうだと思う。 それを知らされた敷島はどう思っただろう。特攻で死んだ仲間や大戸島で死なせてしまった整備兵達は自分が生き残る事をどう思うだろう?と 葛藤もあったことだろう。「生還への選択」は敷島に委ねられた。

死が怖くて逃げた結果 生き残ったという消極的な「生還」から、明子の為に、「生きる為に戦って、生きて帰ろう!」と 積極的に「生を掴む」心境に至ったのであろう…逞しく成長して行く姿が描かれていて、素晴らしい!
それでも、生還した敷島に笑顔が無いのは、死んだ仲間への申し訳ない気持ちがあるからだろう…でも、敷島の生還を涙流して喜んでいる橘を見て、死んだ仲間達も敷島の勇気を讃え、赦したのではないかと思った。
敷島と橘の戦争と生きる事への葛藤と姿勢の描き方が丁寧で 一言で怪獣映画とは片付けられない 素晴らしい人間ドラマを生んでいる…そこが、外国人にも通じる感動ポイントなのだと思った。




《 追記 12/25 》

ゴジラのテーマ曲について、ご興味ある方は YouTubeで「音で怪獣を描いた男」というタイトルを検索すると、2014年にNHKで制作された 伊福部昭氏のゴジラ映画への取り組みを描いた番組をご覧になれます。
それによると、1954年3月に起きた水爆実験でヒントを得た監督が、6月に作曲を伊福部昭氏に依頼し、同年11/3(本作の公開日はこれを踏襲)に映画が公開されたそうです!ヒントを得てから公開までたった7ヶ月!!で あの作品が出来ていたと知り、当時の映画人の凄さを感じました!
そして、何より 伊福部昭氏のゴジラのテーマ曲やマーチなどの曲の素晴らしさに 改めて感動しました。
moon

moon