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ゴジラ-1.0のKHのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.0
良くも悪くも役者の演技が分かりやすくて泥臭いけど面白かった。
ゴジラ映画はシン・ゴジラしか観たことなく、ゴジラ映画の系譜を全く知らないけど、ゴジラの恐怖と絶望とが演出されていた。
ゴジラに何か目的や企みがあるわけでなく、ある意味では戦争を越えた災害レベルの圧倒的純度の高い不条理を具現化したような存在のゴジラの絶望は凄まじい。

戦後直後の時代設定もよかった。戦争に生き残ってしまった人々の病が描かれていた。それらを克服するにはやはりもう一度あの不条理に立ち向かうしかないのか。
「一個の夢のような実質なき慌しい体験であり、人生の意味から遮断された隔離病室」
少年たちにとって戦争とは何だったのかを的確に表したこの表現を思い出した。
戦争による死を恐れながらも、一方ではそれに魅せられて生き残った人たちに1945年以降も時は進んでいく残酷さを感じた。そこに現れる圧倒的不条理とはもはや、ロマンなのか。
「 死ぬために戦うのではなく、生きるために戦う」とこの映画はいうが、果たして本当にこの言葉を真正面から受け取っていいのか。
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