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ゴジラ-1.0のapapattiのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

・ストーリーとしては割りと一本道で、ラストは予想できる部分もある。
・実は生きてましたとか。脱出装置ついてましたとか。
・ただコレ以外はないよな、という道に最後収束していくので、本当にコース料理の締め、という感じで不満は全然なかった。あとラストのドクンドクンもお約束だよね。

・エンドロールがスゴイ短かった。出演者等含めてもこんなに少ないことある?という感じ。いろんな役割を数人でやってる、という感じだった。
・シン・ゴジラとか、情報監修とか車両とかだけで何十人いたと思うんだけど、最小限の人員でやってるなと感じた。役者とかカメオ出演みたいなものも抑えめで、神木隆之介、浜辺美波、佐々木蔵之介で画を担保してるような印象。安藤サクラも良かった。
・やっぱり低予算とのことで、それでもこれだけの作品になるというのはすごいこと。

・オキシジェン・デストロイヤーのリスペクトも良いよね。
・フロンガスで沈めるってまじでできるんだ。これをゴジラ討伐で立案する、というのが意外と現実的ですごい。海の力でゴジラを殺す、非常に良い。人間が自然の力をかりて、超自然災害を討伐する、という構図もかっこいいなと感じた。地球と人間が共闘するような絵になっているのは、結構新鮮だった。
・ビキニ環礁でゴジラがデカくなりました、というのも原作リスペクトなんだっけ…?

・邦画っぽいな~という中だるみは本当に些細ながら感じた。何度も大戸島がフラッシュバックするとか、浜辺美波の葬式のシーンの既視感とか、なんとなくもうちょっと絞っても良かったのかな、と感じる一瞬があるシーンはあったのだけど、全体通してちゃんと伏線になっているものばかりで、ラストを見れば全部解消されて良い。
・大戸島のシーンなんか長いな~と思ったりもしたのだけど、全体に通底する原罪として描くこと、青木崇高の再登場と、自分の戦争を終わらせる贖罪のための爆弾積載装備を依頼すること、というので回収されたのが良かった。他の人でもいいじゃん、って思ってた。やられた。

・役者が上手いな、と思う。特に安藤サクラの初登場は圧巻だった。
・映画館というのは非常に良くて、役者の感情がダイレクトにこっちに向かってくるんだな、と思う。事実上、聴覚も視覚も映像に全てもっていかれているわけだから、演技による感情表現が刺さってくる。
・ついでに泣いても誰にも見られないのだから良い。結構泣いてしまっていた。おじさんになったなぁと思う。
・生きて!とか僕の戦争は終わっていないとか、使い古された表現であったとしても、ちゃんと自分の心が動いているのだと思うと、気恥ずかしながらこういう文化的な世界を感じる感受性はあるし、こういったものの価値が認められているのはこの力によるものなのだろうなと信じられる。
・唯一、神木隆之介の役一体何歳やねんとは思った。もう30歳よね?特攻隊って20歳以下とかでも言ってるイメージだけど。

・泣いちゃったシーンが自分でもちょっと意外で、元海軍の招聘と自警団としてのゴジラ討伐軍の帰りたいやつは帰れ、のあと、「俺らしか出来ないことなんだ。仕方ない。」といってから残ってきた人たちの士気が爆上がりする瞬間。使命感で命を賭す決断をする、というこの瞬間がかっこよかった、と感じたのだと思う。
・仕方ない、で命をかけるのではない、自分たちにしか出来ないことなんだ、というのをあえてネガティブに表現する国民性も感じるけど、これを良いと思ってしまうのは自身が日本人であるからゆえかしら…。アメリカだったら俺たちはヒーローだぜ!って鼓舞すると思うし、インディペンデンスデイでいう、イッツマイタスク、だと思う。もちろんこれはこれでアツイんだけど。

・海神作戦でゴジラの浮上が止まりました!なんでだ!そっか~バルーンだもんね~破るよね~というのも、没入してるとわからないもんだなぁと思いました。そりゃそうか。
・その後船が大勢やってきて微力ながら助太刀します!というのもアツかった。僕も国のために戦いたいんです!というやつを戦争を知らないというのは幸せなことだ、とあえておいていった後に、またその希望が戦線に加わるってのでいいのかな、とか思い、必ずしも自己犠牲的な精神が肯定されうるべきではないが、ただ待ってるだけにもいかんよな、できることは全部やる!といった艦長のセリフとも合ってるし、と考えだすと、やっぱりアレで良かったんだと思う。
・山田裕貴がただのヘタレで終わらずに済んだ、というと乱暴なんだが、若き担い手が見せ場をちゃんともってる、というのはとても重要なことだと思う。

・シン・ゴジラと違う土俵で勝負した作品、というだけあって、また違う良さがあった。素晴らしい。
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