今年は邦画が３作品もオスカーノミネートされているということで嬉しい限りなわけですが、中でも視覚効果の部門でノミネートってのはやはり素晴らしいなって思います。
ということでスルーの予定でしたが劇場まで行ってきました。
いやー、良かったですね。まあゴジラファンってたくさんいると思いますし、一方で自分なんか『シンゴジラ』すら朧げにしか覚えてないようなにわかなわけですが、怪獣映画として見たかったものが見れたなってのがまず満足ですね。
やっぱり怪獣映画って「怖っ！」って思えなきゃダメだと思うんですよね。娯楽映画だと思いますし。だから特撮としてのゴジラ作品なんて全く見たことない自分からすれば、まあハリウッド版のゴジラ造型の方が好きだったわけです。
ただ、本作のゴジラはそれを上回るクオリティであったと思います。ビジュアル的にもそうですし、咆哮だったり回復能力だったりとシンプルに絶望感を感じました。熱線を放った後の間。からの爆発。あれも良かったですね。冒頭の人間が見下ろされて蹂躙されていくカメラワークとかも良かったと思います。視点に関していえばPOV視点みたいなのをもっと入れるとよかった気もしますが、この怖いゴジラが何より見たかったゴジラなので、その時点で満足でした。
ただ本作はどちらかといえばヒューマンドラマ的な要素に重点が置かれていて、特に神木くん演じる敷島の成長譚的な毛色は強かったですね。
そもそも「−1.0」というのも戦後で「０」になった状態にゴジラの登場でマイナスになるって意味があるようですが、敷島自身特攻隊であるにも関わらず、怖気づいて逃げ帰り、大戸島でもビビって仲間を見殺しにしてしまうというマイナスを背負うわけで、日本全体に限らず、むしろ敷島にとっての「−1.0」の物語でもあるわけです。
ただ、この人間のキャラ作りがどうしても好きになれないキャラクターが多かったんですよね。神木くん然り、佐々木蔵之介さんとか吉岡さんとか。ああ、でも作戦会議での吉岡さんは良かったか。まあでもこれは山崎監督によるものなんですかね。いちいち台詞回しが気になったりオーバーアクトにつっかえたりしちゃったんですよね。そのくせ敷島に関しては浜辺ちゃんとの肝心なとこまではいかんのかい、ってのは正直みんな思ったんじゃないですかね。演技力というよりも見せ方の方に引っかかってしまいました。
でもまあ戦後っていう状況下でやれることが限られる中、民間人によって「戦争はまだ終わってない」と蜂起するのは良かったですし、その作戦もリアリティがあって好感が持てました。
あ、でもそもそもガスとかはそんなに物資として余裕があるものなのかな。というかそもそもゴジラに対する後付け設定が多すぎなような。というよりも根本的にゴジラはどうやって発生してんの？島の伝承ということは結構前から存在してたの？とかなんだかんだで詰めは甘い作品なのは間違いないと思いますよ。ノミネートされてても賛否両論はあるみたいですし。ただ、それでもやはり怪獣映画としてちゃんと大迫力で怖がらせてくれたこと、これだけで自分の中の満足度は高い作品でした。
