MURANO

ゴジラ-1.0のMURANOのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.3
日本製の純『ゴジラ』は、こういう映画を作ってこそだよな!と大満足の1本になりました!

前作『シン・ゴジラ』はファンも多い作品とは思うのですが、僕としては亜流も亜流という映画で、まったく乗れなかったんですよね…。

今回の『-1.0』は、ゴジラ銀座襲撃のシーンで一目瞭然のとおり1954年の初代『ゴジラ』の直系譜の作品で、戦後を舞台にしつつも現代風な視点を加えることで解釈を深めた映画になっていました。

主人公は戦中に特攻から逃げた若者。国のために死ぬという当時の美学の元に、本来であれば戦後の日本には生きて戻れなかった人間です。

そんな彼が、他人から預かった赤子を連れていた女と出会い、何の接点もない3人がかりそめの家族として、戦後復興の中で一緒に暮らしていくことになる。

「俺は生きてていいのか。家族と幸せを享受していいのか。」と自らに問いながらも、でも2人を死なせるわけにはいかないという複雑な葛藤。

序盤から主人公描写に濃さがあり、感情を揺さぶられました。

主人公の人間背景の厚みがあるゆえに、ゴジラの襲来によって悲劇が起こるにしても、立ち上がってゴジラ撃退に命を懸けるにしても、やっぱり感情を大きく揺さぶられました。

迫力と緊迫感が凄いクライマックスの決戦においても、とにかく「生きる」ということに強く執着したこと姿勢が感動的。

最後の最後は本当にベタベタな展開であることはわかってるんです。でも、どうしても感動せざるを得ないですよ(笑)

クラシックなゴジラの魅力を堪能しながら、エモーショナルな人間ドラマにグッと心を掴まれた1本でした!
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