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ゴジラ-1.0のmichikoのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.5
「次をやる人のハードルはとんでもなく上がってしまいましたね」
前作『シン・ゴジラ』の推薦コメントにそう寄せた山崎貴監督。まさか自分がその大役を任せられるなんて微塵も思っていなかったのか笑
しかし東映、そして世界中のファンも大満足させたその手腕、『ドラ泣き』に対してボロクソ書いてすみませんでした笑

臭すぎる人間ドラマやセリフで気持ちを全部説明しちゃう所、撮りたい絵や展開の為のご都合主義など『ドラ泣き』と通ずる点もあるにはあるが、見事なVFXで描かれる破壊描写、各種業種が集う民間の共闘、そしてあのメインテーマの素晴らしい使い方。その展開に熱くならない男がいるのだろうか。

これまで数々の現代日本vsゴジラを描いてきた本シリーズ。現代劇だったからこそ、今まさにゴジラが来たらという恐怖をリアルに感じられたと思われる。しかし本作の舞台は1945年以降の終戦後日本。当時の復興の中心は勿論民間であったからこそ描けたストーリーだが、我々は戦争を体験していない。しかしその激情の時代劇はこのコロナ禍で民間の努力が求められてきた現代とも不思議とリンクする。コロナの脅威は完全には収まってはいないが、佳境を乗り越えた我々だからこそ本作の境遇に感情移入し熱くなる。
個人的にはもっと戦後の絶望感やゴジラの恐怖、破壊を観たかったものだが、思っていたよりも個人の人間ドラマが中心であった。

最近の鳥山明の追悼に関して、あの時あれを体験したなと色々思い起こされる事があるが、ゴジラもまた共にこの時代を一緒に生きてきたコンテンツ。テレビで観た『VSビオランテ』、父親と劇場に観に行った『VSモスラ』。そして子供と一緒に乗った西武園の『ゴジラ・ザ・ライド』。今後も共に歩んでいくコンテンツとして、そして世代を渡るコンテンツとして、非常に楽しみである。次回作は益々難産になるだろうが笑
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