Hotさんぴん茶

ゴジラ-1.0のHotさんぴん茶のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ゴジラは凶悪そうな見た目だけど、いつも何考えてるかわからん。いつも1匹で孤独。神々しい青い光を放つ、神秘的な怪獣。恐ろしくも哀愁を感じる生物で、作中の時代の雰囲気ともマッチしていた。

戦いのバリエーションが多く(海上、都会、田舎等)見応えがあった。

印象深いのは、銀座での戦い。
銀座の街並みは、現在にも似てるけどレトロ。その外観と街ゆく人のファッションが再現されてるのがまず楽しいけど。

そしてその上品な街並みを、ゴジラが思い切り破壊!これは怖いやら面白いやら複雑な感情で興奮。
(銀座に恨みはないけど。街が破壊されるのも面白く見てしまうのがゴジラあるある?)

海上・海中戦では、途中プロジェクトxみたいな熱い技術の戦いも始まり。手に汗握るスリルで楽しかった。
バルーンの開発チーム、海軍の人たち、元特攻隊員。いろんな人たちが集まったからこその、作戦成功だよね。

imax前から3列目で見たので。水の迫り方もすごく。潮の香りも漂ってくるようなリアリティ。ゴジラだけでなく海水の圧や怖さも身に染みて感じた。(浮いてくる海水魚も不気味)

ゴジラ退治中に、深水カウンターだけが動くのも、良い演出だった!ゴジラの姿が見えない分、不安と期待を煽られて。

◾️
いつの時代も女性が1人、家もなく暮らすのはしんどすぎる。不審者とかに付き纏われたりしそうで怖い。そういう意味で、のり子は運が良かったとしか言えない。たまたまちょうど好意持てそうな男性と鉢合わせしたのだから。

戦後はこんなふうに即席家族みたいのが生まれてたのかもしれないな。家族と死に別れた同士、守りあって生きてきた人はいそう。

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ネタバレなしで見に行ったので。ストーリーが読めそうで読めずハラハラした。

のり子も主人公も最初本当に亡くなったかと思った。それくらい思い詰めたり、多かれ少なかれ影のある行動の読めない人たちで。鬱屈した戦後の人たちの心境がよく、描かれていた。

一方運良く、戦場を免れた人がいるのもまたリアル。

主人公は今時もいそうな、線の細めな青年。特攻隊から嘘ついて逃げてきた。正直、それの何が悪い?と現代の自分は思ってしまうけど。

最初のゴジラとの遭遇だってそうだ。実際いきなり現れた謎の怪獣に、躊躇いなく攻撃できる人はいない。

でも主人公はずっと罪悪感に苛まれてる。この戦後はそんな人だらけ。生き残ったけど心を病んだ人ばかり。

それだけに。主人公まさかの脱出劇には思わず無音で拍手!
生きよう、と言う強いメッセージを感じた。

ラストは、願いが叶うように、のり子さんが生きてたハッピーエンド。
のり子さん亡くなっておかしくない状況だったけど、この人たちにそんなラストは似合わないから良かった。

◾️
主人公含め癖ありで愉快な仲間たちで、見ていて飽きなかった。

船に乗るあたりから、陽気な船乗りたちが現れて楽しくなってきた。頼もしい船長と、見習いの小僧。顔が濃くて日に焼けていかにも海の男たちって感じ。

あれっ?コトー先生?と思ったら、吉岡秀隆。少しナヨナヨしてるけど志の高い博士。この博士の言葉は皆の心を動かす。そんなカリスマ性すらある独特で難しそうな役。かなりハマり役。

◾️
映画館出た後も、今この街にこの大きさでゴジラがヌッと顔を出すのでは?と錯覚しそうになる映像リアリティ。

こんなリアルさも相まって、この作品の世界と現実が地続きのような感覚に。

そして作中に描かれていた戦後の生きねば、生きよう!と言うメッセージが続いてる気がした。ゴジラは死なず何度も現れるのだから。

◾️
・主人公とヒロインが2人して美形で、清潔感があるので。
最初、戦後間もないにしては違和感があった。特に歯が真っ白で綺麗。
(特殊メイクで日に焼けて少し油っぽい感じにはしてたけど)

でもだんだん見慣れて気にならなくなり。ストーリーに入り込めた。
口調とか演技で時代感に溶け込んでいった。

・浜辺美波さんは、アルキメデスの大戦でも見た。昭和の雰囲気ある芯のある女性役が、しっくりくる。
可愛い現代の女性なのに不思議。珍しい雰囲気の良い女優さんだね。

追記:視聴後しばらくして『ゴジラ-1.0』という題名の-1.0について思うこと。これがマイナスからゼロに進むために立ち向かっていく、前向きな言葉に思えた。そういう明るいエネルギーも感じられた作品。